前回は長鎖脂肪酸をステアリン酸まで紹介した
ステアリン酸(再褐)
今回紹介する脂肪酸の多くは
炭素数がステアリン酸と同じ18個だ
もちろんカルボキシル基も同じだ
ではどこが違うのかというと
水素の数である
ステアリン酸が全ての手で水素をつかんでいるのに対して
今日の脂肪酸は水素を手放して
炭素同士が2本の手でつながっているのだ
このような結合を二重結合と呼び
二重結合を持つ脂肪酸を
不飽和脂肪酸と呼ぶ
重要な脂肪酸なので
聞いたことのある名前が多いと思う
オレイン酸
炭素数は18、二重結合が1つある
写真を見てわかるように
二重結合がある脂肪酸はそこで曲がった分子になる
その結果、分子が密着した整列ができなくなるので
低い温度で融けやすい
リノール酸
炭素数は18、二重結合が2つある
ますます折れ曲がった形になった
その分やはり融点も低くなり
ステアリン酸が70℃ぐらい
(肉を焼けば油が落ちるよね)
なのに対して
オレイン酸が13℃ぐらい
(口の中で融けるよ)
リノール酸は5℃だ
(植物油は液体状)
αリノレン酸
炭素数は18、二重結合が3つある
ここまでくると融点-11℃
なんと真冬でも液体だ
不飽和脂肪酸のもう一つの特徴として
酸化されやすいということが上げられる
二重結合の所の炭素が不安定で
隙あらば他のヒトと手を繋ごうとするのだ
それを利用して
乾性油等に使われる
油絵の具を溶かし
徐々に酸化されて他の分子と手を繋ぐことで
固体に変わるのだ
エイコサペンタエン酸(EPA)
炭素数は20、二重結合が5つもある
分子の形状が丸くなってしまった
融点-54℃
冷たい海中でも固まらないので
魚の中に多く含まれる
ドコサヘキサエン酸(DHA)
炭素数は22、二重結合が6つもある
ここまで来ると形もよくわからない
DHAは近年大スターになったので
良くご存じであろう
もちろん魚に多く含まれる
でも「魚を食べると頭が良くなる」は
話半分に聞いておいたほうがいいだろう
ちなみに
エイコサペンタエン酸の名称は
エイコサ(炭素20個で)ペンタエン(二重結合5つの)脂肪酸
ドコサヘキサエン酸は
ドコサ(炭素22個で)ヘキサエン(二重結合6つの)脂肪酸
という意味
この後
トリコサ(23)テトラコサ(24)ペンタコサ(25)と続く・・・
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