日々の戯れ

鈴柩の頼りない脳細胞に代わる記憶

界面活性剤(分子模型)

2007-07-21 | 分子模型図鑑

界面活性剤は長い分子の一方が

水になじみやすい構造で

もう一方が

油になじみやすい構造の分子の一群だ

Photo_286

このような画像でおなじみだろう

界面活性剤の中で

人間が最も古くからお付き合いがあるのは

石けんである

脂肪酸をアルカリで加工したものである

界面活性剤には大きく分けて

4つの種類がある

 

1 陰イオン系界面活性剤

~酸ナトリウム(石けん)

Photo_287

                           (代表:ドデカン酸ナトリウム)

固体の石けんでは

写真右側のカルボキシル基の部分に

ナトリウムやカリウム等の金属イオンがイオン結合しているが

写真は水に溶けた姿を再現するため

ナトリウムは省略している(以後も同様)

左の炭化水素部分が疎水・親油性

その長さは使用した脂肪によって様々である

 

~硫酸ナトリウム

Photo_288

                          (代表:ドデシル硫酸ナトリウム)

石けんの分子に似ているが

親水性の部分に黄色の硫黄が使われている合成洗剤である

このことによって溶液が中性にすることができ

台所用洗剤に良く使われた

 

~ベンゼンスルホン酸ナトリウム

Photo_289

                 (代表:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)

途中にベンゼン環が入っているため

より合成っぽい姿になっている

これも中性洗剤

 

ここまであげてきたものは

陰イオン界面活性剤と呼ばれるものである

親水性部分が水中で負電荷(-)を帯びる

生物の体も負電荷を帯びやすいので

反発して汚れを取り囲みながら

水で流れ落ちていく

つまり洗浄などによく使われる界面活性剤だ

 

2 陽イオン系界面活性剤

~トリメチルアンモニウム塩

Photo_290

                (代表:ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド)

~ピリジニウム塩

Photo_291

                      (代表:ドデシルピリジニウムクロライド)

上の2種は右側の親水性部分が

からになっていることがお分かりか

ではなくアンモニアに近い構造になり

水中で正電荷(+)を帯びる

するとどういうことになるかというと

人間の体にくっついてしまうので

洗浄にはむかない界面活性剤だ

シャンプーで失われた油分を補給するために

リンスとして使われる

また

陽イオンが生物に吸着しやすいことを利用して

細菌を取り巻いて殺す殺菌剤としても使用される

逆性石鹸と呼ばれる消毒剤オスバン液なども

陽イオン界面活性剤の仲間だ

 

3 非イオン界面活性剤

ポリオキシエチレン~エーテル

Dsc07066

                   (代表:ポリオキシエチレンドデシルエーテル)

ポリオキシエチレン~フェニルエーテル

Dsc07067

                (代表:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル) 

非イオン界面活性剤は親水性部分が

イオンに解離しないので

中性洗剤としても使われる

他にも食品や化粧品業界で

乳化剤・保湿剤などとして広く利用されている

 

4 両性イオン界面活性剤

~カルボキシベタイン

Photo_292

                        (代表:ドデシルカルボキシベタイン)

両性イオン界面活性剤は

赤い部分青い部分があることから推測できるように

酸性の時は陽イオン界面活性剤として

アルカリ性の時は陰イオン界面活性剤として働く

洗剤などのほか

リンスインシャンプーなどに利用されているようだ

 

~グルタミン酸

Photo_293

                            (代表:ラウリルグルタミン酸)

これは両性イオン界面活性剤として分類するのは微妙だ

赤い部分(酸)の方が多いのである

アミノ酸系界面活性剤というべきかな

酸の方が勝っているので溶液は酸性になる

そう

「ビオレママになろう弱酸性ビオレ」など

弱酸性の界面活性剤だ

 

弱酸性のうりは「肌に優しい」だが

その根拠は肌が弱酸性だからという薄いものだ

肌は汗や油を始終分泌していて

常在菌がそれを脂肪酸に分解するのだから

肌が酸性に傾くのは実はあたり前の事だ

アルカリ性の石鹸で洗っても

ほっとけば肌は弱酸性に戻ってしまう

肌は弱酸性になりたいのでなく、ならざるをえないのだ

それを

「弱酸性は肌に優しい」と売り出すのは

商売が巧いと誉めるべきだろうな

 

界面活性剤の界隈では

他にもマユツバ物がある

石けん信仰とも呼ぶべきものだ

合成洗剤は悪くて石けんは良い

という二元論も冷静に考えるべきで

石けんだって界面活性剤なので

細胞膜を破壊するし

環境を汚染する

天然とか合成とかいう言葉で思考停止せずに

上手に界面活性剤を利用していきたいものだ

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2 コメント

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実は私は石鹸派だ。 (kiku)
2007-07-23 01:30:20
実は私は石鹸派だ。
環境にやさしいとか
肌にやさしいとか
そんなことではなくて
絶対に石鹸の方が油汚れは簡単におちると思うから
もう、その差は歴然。
魚焼き器を洗ったスポンジがべとべとだぁというあなた
石鹸なら一発です。
返信する
ふうん (鈴柩)
2007-07-23 18:39:19
ふうん
歴然なんだぁ
 
石けんがほぼ純粋に界面活性剤なのに
合成洗剤は
手肌にやさしい成分(保湿剤)とか
香り成分(香料)とか
粘りを出す成分 (増粘剤)とか
安定剤とか防腐剤とか着色料とか
やたらとぶち込んでるからかもしれないなあ
 
こういう経験からの情報はありがたいです
返信する

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