SUPER FLAT 2

非ファルス的にもっこりするものを肯定せよ!(神の性的不器用あるいはその性的悪戯に由来するもの達について)

デカルトの「カミソリ」理論

2010年04月18日 | Weblog
「たとえばヨーロッパ史で長い間議論がされてきた「17世紀の危機」という危機論争です。17世紀のヨーロッパは、非常に気温が低かったのです。いまよりも2度か3度低かっただろうと......。小氷期という時代で、オランダでは運河が凍って、人々がスケートをやっていたらしいのです。実は、ヴェネツィアでもスケートをやっている絵があります。それほど寒かったというのですが、17世紀は単に気温が低いだけではなく、実際に立証されている限りでも農作物の不作がかなりの件数にのぼっています。しかも17世紀は、戦争が非常に多かった世紀なんです。30年戦争に始まって、最後はスペイン継承戦争まで、まさに戦争だらけの時代でした。ルイ14世が仕掛けた戦争が多いという事情もあるのですが、全体に冷たい時代だったんですね。デカルトの哲学ができたのはこの時代です。デカルトがそのことを意識していたかに関わらず、やはり危機に満ちた17世紀の中でしか成立しえない、戦闘的で挑発的な「カミソリ」理論だった。ところが、18世紀になると気温が上がります。確かに人口は増え、その結果として、デカルト主義は瞬く間に、有用で役立つ穏当な理論として、自然科学と社会科学全体に広がりました。17世紀と18世紀は、その意味でコントラストが激しいのですが、歴史を見ると非常によく似たケースは数多くあります」(『巨大災害の時代を生き抜く』〔ウェッジ選書〕145ページより樺山紘一氏の発言を抜粋)