結局、佐伯剛氏の説く「放浪のすすめ」とは、オートキャンプ場に併設された専用オフロードコースで、ラグジュアリーなアーバン4WD車を安全で快適に(そして土禁で)走らせているようなものにすぎない。つまり「クロカン4WD(三菱パジェロ等のクロスカントリー型四輪駆動車)を買ったからオフロードを走りにいく」という、本来の使用目的からすれば本末転倒の事態が、佐伯氏の教義にも同じように見られるのだ。これは佐伯氏の教義が徹底して「広告代理店の論理」に基づいていることを意味する。それは自らの「放浪のすすめ」に従って人々を「放浪」させようとする、馬鹿馬鹿しくも転倒した戦略である。そもそも「放浪」とは誰の「すすめ」にも従わないからこそ、そう呼ばれるのではなかったのだろうか。