「今どき柄谷行人なんてありがたがっているのは、岩波の編集者ぐらいのものだ」――ワイアードなアニキのひとり池田信夫氏が柄谷行人の新著『世界共和国へ』(岩波新書)を批判している。なにしろあの『国家の品格』にも劣るというのだからこれは手厳しい。だがそんなにムキになって怒ることもあるまい。いまや人文学という領域そのものがもはや漫画としてさえ成立しなくなった時代である。それでも『国家の品格』は「武士道精神の復活」というファンタジーによってギリギリ漫画のレベルを保っていたがゆえ多くの支持を集めたが、柄谷行人の「世界共和国」というストーリーは漫画にするにも寒すぎる。誰も読まないだろうし、また読む必要も無いだろう。