むさしの墨友会

現代書道の父、比田井天来先生の門流である桑原翆邦先生の門人の吉野大巨先生を師として、書を愛好する仲間の会です。

「歩」と言う字から

2013-08-27 | 書道

先週の土曜日でした。

いつものように彩翠さんが一番で、二番目には東鶴さんがお稽古を受けていました。

三番目に私です。

お月謝と月例競書をお出しするためです。

そして、先生に「歩」と言う一字を書いてみたいのですが・・・とご相談しました。

 

 

こんな風になるのかな?とお持ちしました。

先生は“萬鶴さ、これは教科書の書き順の字ですね。字の語源を知るのも必要ですよ・・・”と。

 

 

先生は私の書いた字に朱を入れました。

先ず、足跡です。

右足・左足です。

  


次に止めると書きました。 

 「足」についての漢字の基本は「止」です。

「止」は足跡(あしあと)の形をそのままかいた漢字ですよ。

この「止」がもともとの「あし」を意味する文字でした。

そうかぁ~「歩」は止めると言う字だったんですね。

 

 

 

そして、書き順もです。

まだ、こんなレベルなんです。

 

 

先生は半切に何枚か「歩」を書いていただきました。

 

 

右側の3枚が先生が書いたものです。

全然違いますね!

 

 

そして、半切に一本の長い線を入れました。

両側に一本の道を歩むと書かれました。

一気に書き上げました。

紙と筆の擦れる音が聞こえます。

 

 

次に筆を2本使い、また一気に書き上げています。

何か気合いが入っていると言う感じです。

 

 

 先生も楽しまれている様子が伺えました。

凄い!2本の筆を使った勢いを感じます。

 

 

書いていただいたお手本です。

全て、読めて、意味もわかります。

我が家でも私が書いたものを、家内に見せると(篆書が多い)、何が書いてあるのか分からない。

読めない、意味が分からない。

とのコメントです。

 

確かに書道は正座して、漢文などを臨書して、辛い硬いのイメージなのでしょう。

もちろん基本は忠実に学ばなければなりません。

常にお稽古も必要です。

でも、この日は書道の楽しさも教わったような気がします。

 

 

先生が書かれた書の一枚に、「始めの一歩」がありました。

私は“先生、私は始めの一杯はビールですね”と冗談交じりでお話しました。

すると先生は「始めの一盃 麦酒万歳」と書かれました。

お稽古場に笑いがありました!

より、書道が身近に感じましたね。

時と場合を選んで、それもありなんだぁ~とね。

 

  

中田仙鶴さんが来られました。

その時にはこんなに多くのお手本を書いていただきました。

先生“萬鶴さん このお手本を見て直ぐに書こうとは思わないでください”

案を練って熟成させることも大事なんですよ”と。

読める書、意味のわかる書、ウイットやジョークもある書。

これらが、書道人口を増やす秘訣かも知れませんね。

 

萬 鶴