すぎなみ民営化反対通信

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杉並区議会第四回定例会は総翼賛。労働者住民の絶対反対の闘いで田中区政と闘おう

2010年11月29日 | 杉並田中区政批判

  今回は、12月8日まで開会中の杉並区議会2010年第四回定例会について触れておきます。

田中区政による「山田カラー一掃」の狙いは翼賛化。田中施策は新自由主義施策のいっそう「効率的な」推進

 皆さんお気づきの点ですが、9月定例議会での田中区長所信表明以来、田中区長は、これまでの前山田区政の検証を前面に立てて、減税基金条例の基金積み立ての凍結、すぎなみ師範館の募集の来年度中止をはじめ、山田区政が区長の偏頗にして独自の施策として強権的に実施してきた施策を基本的にすべて「凍結」「見直し」しています。今回の議会を前に実施した「杉並版事業仕分け」でも「土日区役所開庁」はじめ山田区政期に実施された諸施策について「縮小」「見直し」を続けています。

 では田中区政は「山田区長の行き過ぎた強権的な区政運営」の「改革者」として登場しているのか、と言えば、これも皆さんお気づきの通り、決してそのようなものではありません。山田カラー、山田仕様を一掃し、それを「新しい杉並」を掲げた田中カラー、田中=民主党仕様に塗り替えようとしているに過ぎません。その狙いと特徴は、

 ① 第一に、現状破壊的な対決性の濃い施策の条例化をめぐって前山田区政時のように三分の一前後の反対が出るような議会状況から、そのような議会内反対を生み出さない翼賛議会に区議会を変えることです。「新しい杉並」なる17名からなる最大会派の形成だけでなく、日本共産党から無所属区民派をはじめとする少数会派に至るまでほとんどの会派・議員が、この田中区政の議会支配手法にあうんの呼吸で呼応していることは重要な特徴的議会状況です。今回定例会での代表質問・一般質問での質疑は、驚くほどに円滑で静謐で、「田中区政に絶対反対」の闘う一議員を除いては議会の存在意義を疑わしめるほどに、ハッキリ言って和気あいあいたるものでした。

 ② 第二に、「前山田区政のトップダウンの区政経営、区政運営」を各部各課の管理職、幹部職員の意見を尊重して施策を立案、形成するという手法に「刷新」している点です。「管理職、幹部職員の力を引き出す」と称するこの手法は、「新10年ビジョン」なる田中公約の「新たな基本構想」の形成の土台をなすものと位置付けられています。では、それは「独裁的山田手法」の「民主化」であるのかといえばそうではありません。議会会派の対応と同じように、管理職・幹部職員も「田中カラー」に合わせて、田中区長の覚えめでたく気に入られるように、民主党田中区政仕様のレポートと提案に熱中しているに過ぎません。田中民主党区長が行いたいと考えていることを管理職・幹部職員から率先して報告、具申、提案させていくということです。山田区長による号令一下の強権的執行役の「重石」がとれたということにとどまらない、この変わり身の早さは何でしょう!田中区政にすり寄る報告と提案で官僚のポストに汲々とし現場の職員の意見を無視している管理職レポートのありかたに現場からは怒りの声が上がっています。

 ③ 第三に「新たな基本構想」づくりのための区民アンケートの実施です。広報すぎなみNO.1956で11月21日に全戸に配布されています。「開かれた区政」「区民意見の反映」を謳っています。これだけ取り出せば、幻惑的要素に満ち満ちています。だが①②のように行くでしょうか?行くはずもない。区民、地域の労働者住民を愚弄するもはなはだしい。私たちは皆、民主党と民主党政権が今何を国政でやっているか、私たちに対してどんなとんでもない政策を振りかざし、どんなとんでもない法案を国会に通そうとしているか、どんなとんでもない失態をさらけ出し、それらをめぐってガタガタになり、倒壊寸前の危機におちいっているかを直にこの目で見、この耳で聞いています。「たとえ1%の支持率になっても辞める気はない」(菅首相)というような民主党と同じ田中民主党区長にアンケートで「何をどうこうしてほしい」という気になれるでしょうか?

 一番わかりやすい例は、今回の第四回定例会が「土日開庁」のもとでの土曜日議会として強行された点です。

 私たちは山田区政による「24時間365日サービス」「五つ星区役所」が区に働く労働者(正規・非正規問わず)の労働者の労働条件の際限のない破壊・切り下げと無権利化をもたらすものであり、土日開庁・土曜日議会開催はその最たるものとして絶対反対で抗議、反対してきました。今般事業仕分けでは、費用対効果で「縮小」の方向で「見直し」が出されていますが、経営コスト上、デメリットがある分、「縮小」しても、事業としては維持・継続するとしているわけです。土日開庁・土曜日議会で休日勤務を強いられる労働者の労働量と労働条件の悪化は「縮小」によってますます大きくなることは火を見るよりも明白です。

 田中区政の「新しい杉並」の基本構想、「新しい公共」が、所信表明演説であからさまに言いきった「最小経費で最大効果」「民間企業の活力の積極的活用」の通り、自治体のまるごと民営化、非正規化であることは言を待ちません。田中区長が山田カラーを事業ごと施策ごとに逐一一掃したうえでやろうとしているのは、山田区政のときよりももっと費用対効果で効率的に行うという「改革」にほかならず、それはすなわち一層の新自由主義的施策展開となるということです。

広報すぎなみNO.1955「区民意向調査」結果の示すもの

下の図表はクリックすると拡大して見やすくなります。

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 さてその田中区政のもとで出されている広報すぎなみの表記「区民意向調査」結果は、区にとっては皮肉というべきか、この田中区政なるものがいかに「区民の民意」からかけ離れ、踏みにじろうとしているものであるかをはからずも示すものとなっています。注目すべき点を数点あげます。

 ① 第一に、高齢者介護・医療の保障を求める声の大きさです。図表の通り、「高齢者福祉施策」の要望度は30.5ポイント、評価度は5.3ポイント。介護保険制度実施10年、後期高齢者医療の改廃のこのとき、どれほど高齢者とその家族が、激しい怒りと危機感、将来への不安を抱いているかということです。

 国は国の財政危機を理由に真っ先に高齢者福祉を切り捨てた。介護保険制度導入と後期高齢者医療制度によって、介護・医療が必要な人々から介護も医療も奪った。また山田区政もそうだったが、今回の議会質疑でも田中区政は特別養護老人ホームの増設を財政難を理由に拒み、「介護予防」に論点をすり替えている。実際に介護・医療が受けられず苦しんでいる高齢者に死ねというのか。▲介護保険制度は廃止!▲介護・医療は全額公費負担で!▲必要な人に必要な介護・医療を!・・・これは変わらぬ私たち労働者住民のスローガンであり闘いだ。

 ② 第二に、きわめて重要だと私たちは考えるが、「区民の参画と協働の推進施策」のアンケート結果だ。要望度はわずか3.4ポイント、評価度もわずか1.8ポイント。「区民の参画と協働」とは山田区政のときも田中区政においても、民間企業、民間団体の活用、すなわち自治体の民営化を、行政用語としてそのように表現しているものだ。この区政経営、区政運営の根本的なところで区は区民意向と百八十度逆を向いており、民意と完全にかけ離れているということだ。区の労働者住民の総意は「自治体は住民の福祉のために自治体として公的責任を果たせ」「民営化はやめろ」ということだ。

 つまり1000名職員削減、民営化・民間委託化、非正規職化に対して、労働者住民は、まったく評価しておらず、今後もそのような自治体民営化施策をまったく望んでおらず、それに反対だということだ。▲自治体まるごと民営化に絶対反対!▲区職員削減に反対低賃金不安定雇用の非正規職化に反対「最小経費最大効果の行政サービス」めざす田中区政の民営化に絶対反対!・・・これは田中区政のもとで働く正規・非正規職員と住民の最も重要な対決スローガンだ。

 ③ 第三に、「子育て支援施策」の問題だ。要望度は21.3ポイント、評価度は20.0ポイント。田中区政が東京23区で一番待機児童数が少ないと宣伝してまわっていることや認定こども園の拡大とにわかづくりの保育ルームの推進に注力し宣伝していることから、この評価度になっているが、要望度は高い。民主党政権が国家戦略として「子ども・子育て新システム」の法案化を来年強行しようとしていることからも重大な攻防点、対決点となっています。一番重要なことは、乳幼児を抱える家族や保育園・幼稚園職員を除いては、ほとんど知らされていない幼保一体化の目的と全容についてあまねく暴露することが急務になっているということです。

 

 とりわけ、これが保育園・幼稚園の全廃であり、職員のいったん全員解雇であり、株式会社が経営・運営するこども園への統合、すなわち保育園・幼稚園の完全民営化であること、介護保険制度とまったく同じ制度設計による保育の市場化であることを徹底的に明らかにすることです。民主党田中区政は、現在の区の認定こども園を杉並独自の全国に先駆けての取り組み、先進事例として今度の議会で位置づけを明らかにしています。田中区政が「子ども・子育て新法」(幼保一体化・こども園法案)の先兵となろうとしている。

 《幼保一体化・こども園》問題は、来年通常国会での公務員制度改革法案と並ぶ最大対決法案となるとともに、区市町村がその実施主体となることから来年4月統一地方選挙の最大対決点になることは間違いありません。▲幼保一体化・こども園に絶対反対!▲幼稚園・保育園全廃と全園職員全員クビきり、保育民営化に反対!▲子どもの命を奪う保育民営化は絶対阻止!▲田中民主党区政をたおす!・・・保育園・幼稚園で働く職員、園に子どもを預ける保護者を先頭に大反対運動をつくりだすことです。

絶対反対の闘いで田中民主党区政をたおそう

 ★翼賛議会での日本共産党の田中区政との恥ずべき一体化★

 今回の議会で目立ったのは、これまでにもまして日本共産党の翼賛化・与党化がいちだんと進んでいるということです。ここでは質問に立った小倉順子(日本共産党杉並区議団)の質問中、共産党が田中区政の「与党」化志向を端なくも自己暴露した一言二言を指摘しておきます。

◆「超党派で実現した介護保険制度」・・・・介護保険制度実施10年間に踏まえた質問の中で、まさに端なくも、介護保険制度の成立の共犯者であったことを自己暴露した、日本共産党ならではの表現です。既に何回も共産党が介護保険法案に対して、当初の「反対」「廃案」から「修正」「法案の改善点の要求」に立場を変更し、制度導入を前提にした賛成派に回ったことは指摘してきました。この小倉議員発言は、そのことを誇りにしているといわんばかり。高齢者にとって当時も今も介護保険制度は「高齢者に死ねというのか」という許しがたい福祉切り捨てです。その介護保険を共産党も含めた超党派で実現したと言っているわけです。

◆「第五の社会保障制度である介護保険制度」・・・・「社会保障」とは「ゆりかごから墓場まで」のベバリッジ報告以来、医療、年金、福祉等で国と企業の負担で労働者人民の老後や医療や介護、保育を公的責任において社会的に保障するという国家と資本家の義務として「制度化」されたもの。それを余儀なくさせた世界各国での労働者人民、当事者の闘いがあった。これは言わば左翼であろうがあるまいがイロハの認識です。これをひっくり返すものとして、新自由主義が、規制緩和・民営化、「小さな政府」・社会保障解体を繰り広げてきた。介護保険制度こそ、「介護」「高齢者福祉」の市場化・民営化としてつくられたものだ。断じて「社会保障制度」などというシロモノではない。転向とは恐ろしいものだ。新自由主義の攻撃を「社会保障制度」などと賛美し翼賛化もとどまるところを知らない。

◆何のために、この発言か?「民主党政府と一体」「田中区政与党」として「超党派」で今後日本共産党は進むことを誓うものだ。眼前には介護保険制度と同じ制度設計の「幼保一体化・こども園」がある。介護保険では共産党は「よりよい介護保険制度」を掲げた。いま共産党は「保育をもっとよくする」「よりよい保育」を掲げている。日本共産党は、「幼保一体化・こども園」に決して反対しない、民主党政府案を前提に「修正」「改善」をすすめる、賛成するということです。

◆求められているのは絶対反対の闘いです。ともに声をあげよう。ともに闘おう。

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