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脳梗塞に対する細胞治療

2014年11月22日 | 学会/研究会

脳梗塞に対する細胞治療の会議出席のために岡山に来ています。

脳梗塞とは脳の血管がつまり、脳細胞が障害されてしまうことを指します。

「一旦障害されてしまった脳は再生されることはない」というのがこれまでの常識でした。しかし最近では中枢神経系も一部再生することが分かってきています。

私自身の米国留学中の研究テーマは脳内の神経新生(neurogenesis)でした。私たち大人の脳の中にも新たに生まれる神経細胞があるのです。すごいですよね?

これは主に記憶に関係する海馬という部分や脳室(脳の水の部屋)の近くで起きている現象ですが、大脳皮質内でさえわずかながら神経が新生しているとする報告もあります。

さて私たちが共同研究させて頂いている兵庫医科大学先端医学研究所の松山研究室ではこの脳内の幹細胞を取り出して培養することに成功しています。

細胞の名前は「傷害誘導性神経幹細胞: Injury-induced Neural Stem/Progenitor Cells: iNSPC」です。脳になんらかの傷害が加わった時に誘導されるということですから、これを活性化すれば脳の機能改善が得られる可能性があります。従って、私たちはヒトの脳梗塞の一部を取る手術の際、これを破棄せず、神経幹細胞を取り出す研究に着手する予定です。成功すれば、自分の脳梗塞から幹細胞を取り出して培養し、自分に戻す再生治療が可能になるはずです。

私たちは脳を守ることに全力で取り組んでいますが、残念ながら全ての神経機能を守ることは困難です。このためこういった新たな治療にも積極的に取り組んでいきたいと思います。

 

コメント (1)
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