オンマは辛いよ

~グチはゴミ箱へ、思い出は宝箱へ~

シロウトが言うのも何だけど…

2008年05月24日 22時45分08秒 | 息子の話
 空手の練習でのこと。

 私が道場に着いたとき、ちょうど形の練習が終わり、組手の練習が始まるところだった。

 まず、中学生のお兄ちゃん、お姉ちゃん達が、チビッ子達の練習台になる。

 息子は、黒帯のK君を相手に練習をしていた。

 側で師範にも見られ、厳しいゲキが飛んでいた。

 ひとしきりやり終わると、次は今まで練習台だった中学生が、先生達にシゴかれる番だ。

 息子の相手をしてくれていたK君は、I先生を相手に激しい格闘を繰り広げていた。

 I先生の声は、ひときわ大きかった。

 その時だった。

 K君がどんどん押していき、最後にI先生が転んでしまった。

 「わぁ、さすが、大きい子になると、先生も大変だなぁ」
位にしか思わなかったのだが…

 起き上がった先生は、突然激しくK君に怒鳴り出したのだ。

 何だかよく聞こえなかったが、突きがまっすぐ出ていなかったのか、
 「それやったら、ただのケンカやないかい
と、怒鳴りながら、K君の横腹を数回殴っていた。

 ちゃんと見ていなかったし、素人なのでよく分からないが、仮にK君の突きが本当に悪かったのだとしても、
 「ちょっと、大人気ないなぁ」と、正直思った。

 もしかして、こかされたから…?まさか、ね…

 すると、その時、ズカズカと一人の男が二人の所へ近づいていった。

 K君の父親だった。

 K君の父親は、I先生に向かって、怒鳴り出した。
 これまた、よく聞こえなかったが、
 「子ども相手に何ムキになってるんだ」と言ったようだった。
 先生も父親の胸ぐらをつかみ、
 「勝手に道場に入ってくんな
 と、叫んでいた。

 それまで練習していたみんなも、怒号に驚き、道場は水をうったように静まりかえった。

 師範は、父親をなだめながら、一緒に道場を出ていった。
 I先生は、一応K君と握手していたが、K君は、師範に言われ、着替えて帰っていった。

 I先生は、別に道場を持っていて、この道場の正式な先生ではない。
 息子がこの道場に通っているので、たまに顔を出す先生なのだ。

 その日は、尻すぼみな終わり方になってしまった。
 何も知らない息子は、「なぁなぁ、何で先生怒ったん?何でK君は、先帰ってしまったん?」と聞いてくる。

 返答に苦しんだ末、
 「あんたも、よく先生に注意されるやろ?突きはまっすぐ出さなあかんって怒られたの」
と言ったが、息子は納得していなかったみたいだった

 先生、チビッ子達も、親達も、シロウトだけどちゃんと見てるんですよ