
時事通信の報道によりますとー政府がトランプ米政権との関税交渉で、米国産のコメの輸入拡大を検討していることが22日、分かった。米側は農産物などの市場開放を求めており、有力な交渉カードの一つとみられている。ただ、コメの輸入拡大は農家などの反発が予想され、参院選を控えて与党内には慎重論が根強い。政府は米側に提示する材料を慎重に精査する考えだー(注1)とのことです。確かに米価の高騰の中、米カリフォルニア産白米が 1kg 1,980円で販売されていたりするので(注2)、国内の消費者にとっては朗報かもしれません。しかしブログ主は今一懐疑的です。それはブログ主が44年前に読んだ漫画が原因と言えば皆様から一笑に付されるかもしれませんが・・・その漫画とは故さいとうたかお氏の『ゴルゴ13 54穀物戦争蟷螂の斧』でした。世界の穀物市場を実質的に支配しているブンゲ、カーギル、コンチネンタル、ルイ・ドレフェスのメジャー4社にたった一人で挑戦する日本人商社マン藤堂の闘いを描いた作品です。敵役のカーギル社幹部のセリフ「日本人は米なんか作る必要はない。わが社が安くてうまいカリフォルニア米をいつでも腹一杯食わせてやるから」(手元に同書がないのでうろ覚えのセリフです)を44年が経過した今でも忘れることができないのです。こういう連中に私達の命綱を握らせて良いのかと心配です。漫画だからと一笑に付す訳にはいかない支配力を実際に彼らは持っていました。当時、アフガニスタンへの軍事侵攻を開始した旧ソ連は農業不振で穀物の供給を米国に依存していたことから、米国政府は直ちに穀物禁輸に踏み切りソ連に圧力をかけました。このように穀物は原油や天然ガスと並んで戦略物資になりうるということをいやというほど実感しました。
もう一つ心配な点は米国有数の米産地カリフォルニア州の環境問題です。同州では過去10年にわたって深刻な干ばつに見舞われており、山火事も頻発していることは良く知られています。同州の農業の持続可能性について、今後の灌漑可能性の観点から深刻な疑問が早稲田大学の宋 苑瑞氏らによって投げかけられています(注3)。果たして私たちはカリフォルニア米に安心して依存することができるのか・・・心配です。
(注1)https://www.jiji.com/jc/article?k=2025041500783&g=eco
(注2)https://www.amazon.co.jp/stores/page/573DE498-9AF3-41E2-9EF5-C724D6D51D6C?ingress=2&visitId=94b68590-c59f-4882-8d3e-acb578ff7dea&store_ref=bl_ast_dp_brandLogo_sto&ref_=ast_bln
(注3)2022年度日本地理学会春季学術大会 宋 苑瑞, CANTOR Alida, CHANG Heejun「米国カリフォルニア州における近年の干ばつと農産物輸出による仮想水の移動」https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2022s/0/2022s_182/_article/-char/ja/