博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

何で「侵略」するのか?

2006年05月29日 | SF
 しかしH.G.ウェルズの「宇宙戦争」のおかげで宇宙人というと恐ろしい侵略者というイメージができあがってしまいました。映画「E.T.」のヒットで、そういうイメージは薄まったとはいえ、まだまだ根強いことも否定できません。
 そもそも、なぜ彼らは侵略してくるのでしょうか?ウェルズの原作では、侵略者の故郷は火星ということになっていて、火星の環境が悪化したために、地球への移住を企てたという設定になっていました。今日の科学では火星はもちろん、太陽系内に知性を持った生物がいないことはほぼ確実です。木星系の「エウロパの海」に生命が存在する可能性が最近浮上してきましたが、知性は先ず存在しないでしょう(エウロパの海底に固着して思考活動のみを行う知的生命なんて、いたら面白いでしょうが、あくまで空想でしかない)。
 ということは侵略者は太陽系外からやって来ることになります。これは技術的に大変難しい。なぜかというと太陽系外の他の星は大変遠いからです。どの位遠いか説明しましょう。仮に太陽の直径を野球のボール位(約7cm)に縮めたとしましょう。すると地球は直径が約0.6mm位になります。砂粒ですね。太陽から約7.5m離れたあたりにいます。最も遠い冥王星は太陽から大体300m離れたところにいます。随分遠いという感じがしますよね。私たちの太陽系に一番近い恒星であるアルファ・ケンタウリは4.3光年離れていますが、この縮尺だと何メートル離れた場所になると思いますか?

 驚く無かれ、大体2000kmもの距離になるのです!日本列島の長さ位になってしまうのです。遠い・・・遠すぎる。
 これだけ離れた場所から宇宙船でやってくるには膨大なエネルギーと時間が必要です。人類が打ち上げた宇宙探査機ボイジャーは時速約6万キロという早い速度で飛行しています。地球から月まで6時間半で着いてしまいます(アポロ宇宙船は3日かかった)。このスピードをもってしても、アルファ・ケンタウリまで8万年近くかかるのです。原人が現代の人類に進化するのにかかった時間に近い・・・
 
 こういう話をすると、昔コロンブスの船隊は大西洋を横断するのに約3ヶ月かかったが、現代のコンコルド(退役しましたが)は3時間で横断できるという人が出てくるのですが、コンコルドはちゃんとそれに見合った膨大なエネルギーを消費しているのです。
 どんなにテクノロジーが進歩しても光の速度は超えられませんし、何か想像もつかない魔法のような方法でこの問題をクリア(SFに出てくるワープ航法とか)するとしても、それに見合った想像を絶する膨大なエネルギーは、どんなことがあっても必ず必要になるのです(只では何も手に入りません)。そして膨大なエネルギーを賄うには膨大なコストが必要になります。テクノロジーが進歩すればどうにかなるという問題ではなく単純な物理の問題なのです。ちなみにアポロ計画が終了した直後、地球から火星への有人飛行計画が立案されましたが、予算が30兆円以上かかる(現代日本の国家予算の3分の1近い!)ことが分かって見送られました。上記の縮尺だと地球と火星は数メートルしか離れていないにも関わらずですよ。
 こんな具合なので、仮に居住星の環境が悪化して住めなくなったとしても、それだけの膨大なコストを払って地球にやってきて大汗を流して地球人と戦うよりももっとましな解決法があるかもしれません。この話はまたします。



 


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