博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

移行期危機 2

2009年10月05日 | 読書・映画
(昨日の続き) 
 トッドによれば、この移行期危機は出生率が2レベルに低下していくと共に沈静化するそうです。世界最大のイスラム教国家であるインドネシア(日本の2倍の人口を有する)の出生率は2000年現在、2.7です。西欧化が進んでいるトルコは2.5、核疑惑で揺れている元祖イスラム原理主義のイランも2.6です。イスラム人口の多い旧ソ連のアゼルバイジャン、トルクメニスタンといった国々も軒並み2レベルに低下しています。したがってこれらの諸国の社会は社会的、政治的に安定期に入りつつあるそうです。
 一方で2000年現在で、アフガニスタンが6.63(この数値のみ2004年)、サウジアラビアは5.7、イラク5.3、ソマリア7.3、パキスタンは5.6、といったイスラム諸国の出生率は依然高いままです。いずれも現在、国内が混乱状態にあるか、混乱状態におちいりつつある国々です。トッドの移行期危機説の例証になっているといえます。サウジアラビアは今のところ国内に大きな混乱は見られませんがアルカイダなどのイスラム武装勢力の拠点になっていることは有名です。
データの出所 ⇒
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E4%BB%A5%E5%BE%8C
(ウィキペディアの分かりやすい『帝国以後』の紹介ページ)
 しかしそれらの諸国も、1980年と比較すればかなり出生率は低下していきているとはいえます。
 それとトッドの指摘で重要なことはイスラム圏は一枚岩ではないということです。出生率で見ても2極化が進んでいます。そして日本や欧米諸国と同じ社会発展を行っているともいえます。
 こうして見ると今のアフガニスタンに必要なことは、教育を一層普及させることだとも言えます。さらにタリバン勢力がかつて女性の教育を頑なに拒んでいたことは有名です。これも示唆的な事実です。

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