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博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

移行期危機

2009年10月04日 | 読書・映画
(昨日の続き)
 副作用とは、文字が読めるようになった若い世代とそれ以前の文字が読めない伝統社会に生きてきた世代の軋轢による社会の緊張です。文字が読める若い世代は政治的経済的に自立し、新しい価値観を自ら生み出しはじめます。ここで長い間社会を律してきた伝統的規範は形骸化していきます。このとき、それまで無教育の下で覆い隠されてきた様々な社会的矛盾に若い世代が自覚的に、時に戦闘的暴力的に対峙するようになります。トッドは、そのような期間が民族や文化の違いによる変化はあるものの大体50年くらい続くとしています。この期間は内戦やテロ、対外侵略行動などが頻発することもあり、これを「移行期危機」とトッドは名付けています。日本では明治維新から第二次大戦の敗戦までが該当するそうです。欧米諸国も19世紀の帝国主義から第一次大戦終了までの時期が該当するそうです。
重要なことは男性の識字化に続いて女性の識字化が進行し、女性の社会的地位が向上し、社会進出が進み出生率が急速に低下していきます。少数の子どもをコストをかけて大切に育てるようになりますから簡単に戦争などは起こせなくなります。この段階で社会は沈静化、安定化し移行危機期を脱します。戦後の日本がそうでした。
トッドによれば21世紀の現在はイスラム圏がまさに移行期危機の中にあり、イスラム原理主義者の台頭はその証だそうです。(続く)

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