goo blog サービス終了のお知らせ 

博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

「野のユリ」とバベルの塔

2022年01月26日 | 読書・映画
 アメリカの俳優のシドニー・ポワチエ氏が、去る1月6日に亡くなりました。94歳だったそうです。『招かれざる客』、『夜の大捜査線』、『いつも心に太陽を』といった心に残る作品の主演が多かったです。私が初めて鑑賞した氏が出演した作品は、中学3年生の頃(昭和50年頃です)にテレビで放映された『駆逐艦ベッドフォード作戦』(1965年 アメリカ映画)でのベン・マンスフォード新聞記者の役でした。もう47年も昔のことです。
 特に惹きつけられた作品に『野のユリ』(ラルフ・ネルソン監督 1963年 アメリカ映画)があります。この映画では氏は建築技術者ホーマー・スミスの役を演じていました。ホーマーはアリゾナ州の砂漠を仕事を探してさまよっていたのですが、一軒家に車のラジエーター用の水を求めます。そこにはベルリンの壁が構築された東ドイツを脱出しアメリカに亡命してきた5人の修道女がいました。そのリーダーのマリア院長が、なぜかホーマーを「神の遣い」と思い込み、砂漠に教会を建てることを頼み込みます。正気の沙汰とは思えないような物凄く無茶苦茶な話なのですが、ホーマーは院長の熱意に負けてレンガ作りの教会を手づくりで(!)作り始めるのです。映画は全編にキリスト教の精神が充溢しています。タイトルからして新約聖書マタイ伝の一節(院長がホーマーを説得するセリフでもある)です。
 私が面白いなと思ったのは、院長の熱意とホーマーの仕事ぶりに感銘を受けた町の人々が作業を手伝いに大勢やってくるのですが、皆さんヒスパニック系でスペイン語しか話せないのです。一方修道女たちは院長以外はドイツ語しか話せません(一所懸命に英語の勉強はしている)。ホーマーは英語しか話せないので現場が大混乱になり教会建設が頓挫しそうになる場面が出てきます。これは旧約聖書の「創世記」に出てくる「バベルの塔」のエピソードを思わせます。この危機はホーマーが考えを改めることで切り抜けることができました。いろいろな教訓が含まれていそうな映画でしたので、また改めて鑑賞したいと思っています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。