核融合発電の宣伝文句に「核融合反応では危険な放射能が発生しない」というものがあります。これは半分は正しいですが、半分は正しくありません。確かに核融合反応からは、アルファ線、ベータ線、ガンマ線などの、いわゆる放射線は発生しませんが、大量の中性子が発生します(上の図をご参照ください 、3Hがトリチウムで、2Hが重水素のことです)。核融合実用炉では、この中性子から熱エネルギーを取り出すことが構想されているようですが、中性子には副作用があって、中性子が衝突した物質を放射化してしまうのです。また物質を脆弱化させてしまいます。固い材料をスカスカにしてしまうのです。核融合炉を稼働させることによって炉本体が大量の放射能を帯び、しかも時間が経つと脆弱化して使い物にならなくなってしまうのです。莫大な費用をかけて核融合炉を建設しても、数年位しか使用できず、後に数万トン規模の大量の放射性廃棄物が残ることになります。これでは採算が取れないだろうと思われます。技術は完成したのに実用にならないという結果になるのは、このような場合です。
以上の点については、炉の材料の面からの解決策と中性子の制御の面からの解決策が模索されているようですが、果たして本当に解決できるか今のところは何とも言えない状況のようで楽観はできないと思われます。そうは言っても人類の未来を考えると期待したい技術ではあります。
上の図はこちらのページから引用させていただきました。⇒ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E8%9E%8D%E5%90%88%E7%82%89