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羽花山人日記

徒然なるままに

規制と奨励

2021-10-14 17:26:45 | 日記

規制と奨励

今日の朝日新聞に載っていた,名古屋大学教授松尾陽さんの「憲法季語」は勉強になった。

主題はワクチン接種についてであるが,その導入にバイク搭乗の際のヘルメット着用の義務化が取り上げられている。

わたしは,バイク搭乗者がヘルメットをかぶるのは当然で,かぶらないと罰則を適用されることに疑義を感じたことがなかった。しかし,これは憲法に照らすとなかなかの問題であるとのことである。ちなみに,ヘルメット着用の義務化は1965年からで,罰則付きになったのは1975年である。

当人の意思に反してまで何かを義務付けることは,パターナリズムと呼ばれ,日本国憲法が立脚するリベラリズムの基本原理には反するという。意思に反して強制力を行使することができるのは,他者への危険を防止することが唯一の理由で,「他者危害原理」と呼ばれ,憲法に言う「公共の福祉」にこれが含まれる。

ヘルメット未着用で事故に遭えば,大けがをしたり死んだりして家族を悲しませ,介護負担を負わせ,医療システムにも負荷を与える,というような理屈をつけて,バイクヘルメットの義務化は可能になる。

ひるがえってワクチン接種については,その効用や副作用について科学的なデータを積み上げる必要があり,ヘルメット問題以上に厄介である。そこで,政府や自治体はワクチン接種証明書を発行するなどして,被接種者に利益を与える,「奨励」という形をとろうとしている。しかし,この「奨励」が,私企業においては義務化になることもある。アメリカの航空会社が,ワクチンを拒否している従業員を解雇したというニュースが伝えられている。また,「奨励」の効果を検証することも必要である。

著者は「緩やかな規制の活用を推進するならば,規制が乱用されず,規制の合理性が担保される担保の枠組みの整備が重要」と結論している。

コロナ蔓延を抑えるために,自分自身の主権者である個人の権利を規制する法律の制定が,改憲まで含めて議論されている。拙速や行き過ぎは,厳に慎まなければならない。

 

国会解散

衆議院が解散になった。選挙に向けて,野党,特に立憲民主党は政権奪取を公言している。それはそれで結構だが,公約を実施する主体になり得るかについて,危惧を感じるという論調があちこちから聞こえる。旧民主党政権失政のトラウマが,結構大きいことを心すべきである。

それにしても,解散に際しての議員の万歳はいただけない。まことにみっともない。

川柳を一句:岸田さん句読点だけ顔を上げ

 

コメント (3)
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