10月2日,阿見町にて撮影
秋を象徴する花はコスモスである。日本語では秋桜の漢字があてられている。
コスモスはメキシコの原産で,日本には明治以降に導入された。メキシコでは国花にしているかと思ったら,ダリアが国花だという。
コスモスcosmosはギリシャ語から来ていて,宇宙あるいは秩序を意味するとのこと。スペイン人の聖職者が,整然と並んでいる花弁を見て命名したと言い伝えられている。この名前の植物には,いくつかの種が含まれているが,通常コスモスと言えば,Cosmos bipinnatusを指し,和名はオオハルシャギクである。
花色にはピンク,赤,白,オレンジ,黄色があるが,この中の黄色はわたしの大先輩で,玉川大学教授だった佐俣淑彦さんの育成によるものである。イエローガーデンという名前で,1987年に玉川大学から発表され,その後イエローキャンパスというさらに黄色が濃い品種が開発されている。なお,キバナコスモスはコスモスとは別の種である。
佐俣さんは,わたしが大学院生の時,研究生として東大の育種学研究室でコスモスの研究をされていた。当時,八重咲のコスモスを育成され,学会賞,朝日新聞社からの顕彰などを受賞されていた。ある日,畑でわたしにコスモスの花を見せ,白い花弁の下部にかすかに黄色い色素が分布しているのを指して,これを上まで広げれば黄色いコスモスができる,とおっしゃった。
以来二十数年,佐俣さんはイエローガーデンの発表を目前にして,1984年に亡くなられたが,その志は後継の玉川大学スタッフに受け継がれ,立派に遂げられたのである。
玉川大学のホームページより
水原秋櫻子さんの一句「コスモスを離れし蝶に谿深し」