羽花山人日記

徒然なるままに

『デッドマン・ウォーキング』(映画)

2024-10-05 15:59:02 | 日記

『デッドマン・ウォーキング』(映画)

もし死刑に賛成か反対かのアンケート調査に答えるとしたら、わたしは反対の方にしるしをつけるだろう。しかし、これはかなり心情的なものである。

わたしは死刑や死刑制度についてほとんど勉強してないし、自分の気持ちを論理化することはできない。犯人に極刑をと訴える被害者の家族の前で、自分が死刑反対だと言い切る勇気はない。

しかし、死刑にされることをなんとも思わないとうそぶきながら処刑される人を見ると、命を奪うことの残酷さと罪深さを自覚して刑について欲しいと感じる。

『デッドマン・ウォーキング』は、そんなわたしの気持ちを見透かしたような映画である。

1995年に公開されたハリウッド映画。原題も“Dead Man Walking”で、これは死刑囚が刑場へ歩いて行くときに刑吏がいう言葉で、映画の中にも登場する。

ニューヨークの黒人街でボランティア活動をしているシスター・ヘレンのところに、マシュー・ボンスレットという白人死刑囚から会って欲しいという手紙が来る。彼は10代の一組の男女を殺し、女性を強姦したという罪に問われている。

会って話を聞くと、マシューは一緒にいた男が殺して強姦したので、そちらは言い逃れて無期懲役になっているが、自分は無罪であり、助けて欲しいという。

ヘレンは死刑反対論者であり、マシューとは別な理由から死刑減免に助力することを承諾する。

実は孤独でおびえているが強がりをいうマシューを説得し、赦免審問会での母親の証言を承諾させる。しかし赦免申請は却下となり、死刑執行の期日が1週間後に決められる。

その席に来ていた被害者家族から、ヘレンはどうして犯人をかばうのかと難詰される。ヘレンは両方の被害者家族を訪ね、犯罪者も神の前には個人としての尊厳があることを述べるが理解されず、マシューに対する憎しみの深さを知る。

マシューはヘレンに精神的指導者になって欲しいと要請する。精神的指導者とは、刑が執行されるまで死刑囚に付き添うという非常にきつい役目であり、周囲からは心配されるがヘレンはそれを引き受ける。

マシューは自分の無罪主張が嘘でないことを噓発見器で実証しようとするがその結論は得られない。個人的には死刑反対論者の州知事への赦免要請も拒否され、上訴審への申請だけが残された道となる。

迫りくる死におびえるマシューに、ヘレンは聖書を渡す。罪びとも神に許されるというマシューに、自分の罪を認め、その罪の許しを神に請うのであって、それは間違っているとヘレンはいう。また、たとえ殺していなくても、犯罪を傍観していただけという責任はマシューに存在することを指摘し、真実は自由をもたらすと諭す。

死刑執行当日、上訴却下の知らせがもたらされる。マシューはヘレンに聖書を返し、自分が男性を殺し、女性を強姦したことを告白する。そしてその前夜、自分の罪の許しを神に祈ったという。

致死薬を注射される前の最後の発言で、マシューは立ち会っている被害者家族に謝罪し、自分の刑死が平安をもたらすようにという。そして。殺人は国家によるものであっても罪であると述べる。

マシューははヘレンの方を向いて「愛をありがとう。愛している。」と呼びかけ、ヘレンも声には出さずに愛していると答え、マシューの方に手を差し伸べる。

この最後の死刑執行に至る過程の演出は実に濃密で迫力がある。

シスター・ヘレンは宗派の規則で修道服はまとわず、私服で通している。いわゆる「聖女」としてでなく、普通の女性として演じられ、人間的な悩みが伝わってくる。

主演女優のスーザン・サランドンは、この演技でアカデミー賞主演女優賞に輝いている。

原作は、シスター・ヘレン・ブライジョーンによるノンフィクションで、死刑反対論の立場から書かれているらしいが、映画では死刑を肯定する立場からの主張も盛られている。

いい映画だった。

秋の気配

マンションの公園で撮影

 

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パイプオルガンコンサート

2024-10-03 20:05:44 | 日記

パイプオルガンコンサート

東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われたパイプオルガンコンサートに行ってきた。

このコンサートは、「こうのとりゆりかご(赤ちゃんポスト)」支援のチャリティーコンサートである。

演奏者のダミアン原田修道士は福岡県の出身で、カミさんの大学クラスメートの弟さんである。パリエルサレム修道会に属し、世界各地で演奏活動をされているとのことだ。久しぶりの日本公演で、おそらく聴くのも会うのも最後になるかもしれないと姉君は福岡から上京され、カミさんを招待してくださった。そして、わたしはそのお相伴に与かったという次第である。

なお、原田修道士の演奏はYouTubeで視聴することができる。

この大聖堂の名前は前から知っていたが、。訪れるのは初めてだった。

丹下健三氏の設計で、1964年に落成したとか、その威容に圧倒された。大聖堂に入り、バチカン聖ピエトロ大聖堂に置かれているミケランジェロのピエタ像の等身大レプリカ、フランシスコ・ザビエルの胸像を拝観し、席に着いた。

待つことしばし、ほぼ満席の礼拝堂に、荘厳なオルガンの響きが鳴り渡りはじめた。

コンクリートむき出しの壁、高い天井の礼拝堂は素晴らしい音響効果で、たちまち曲に引きずり込まれた。

時には心地よい眠りに誘われ、アメージンググレース以外は名前を知らなかったが、全5曲の演奏に心洗われて帰途に着いた。

パイプオルガンは教会によく似合う。

カミさんは久しぶりの旧友との交歓で大満足だったようだ。

ミケランジェロのピエタ像

ヴァチカン聖ピエトロ大聖堂にて2003年撮影

 

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山藤章二さん

2024-10-01 19:10:16 | 日記

山藤章二さん

山藤章二さんが亡くなった。

週刊朝日を購読していたころ、最後のページにある似顔絵を見るのが楽しみだった。「週刊朝日を後ろから読ませるようにした男」といわれたそうだ。

買って大切にとっておいた週刊朝日最終号の最後のページを開けてみた。立川談志さんの似顔絵が、お得意のブラックユーモアとともに載っていた。

山藤さんは風刺イラストレーターといわれる。ネット上で、ロッキード事件に関連し、田中角栄元首相の交友関係を描いた週刊朝日1976年4月30日号の「ブラック・アングル」を見た。武者小路実篤さんの色紙に似せて、「仲良き事は美しき哉」の賛が添えられている。

彼の鋭い風刺には、しかしどことなく憎み切れないユーモアと人間愛が漂っていた。

享年87歳。わたしより一歳下なのに、老衰とは残念である。

ご冥福をお祈りする。

 

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『母の待つ里』(テレビドラマ)

2024-09-30 19:39:51 | 日記

『母の待つ里』(テレビドラマ)

宮本信子、中井貴一、松嶋菜々子、佐々木蔵之介、伊武雅刀という、豪華な出演陣の名前に誘われて、NHKBSプレミアムから2週連続で放映されたこのドラマを観た。

出演者の演技にゆとりがあるので、ゆったりとした気分で楽しむことができた。 それにしても、宮本信子のバーチャルと現実を使い分ける演技は圧倒的であった。

舞台はカード会社が経営する、「老母」が暮らすバーチャルの里。 1泊50万円で、茅葺の大きな曲がり屋で宮本信子扮する「老母」と一晩を過ごす企画である。

分断と孤立化が進む現在、どこにも落ち着き先がない孤独感・喪失感に悩む人を狙った商品ということであろう。

東北地方のローカル線の鄙びた駅を降りるとバスが待っている。 これも企画のうちで、運転手に問うまでもなく行く先は決まっている。

雑貨屋の前の停留所でバスを降りると、軽トラックで通りかかった老人が、「○○さんでねえが、よーくけえってきだな。母さんも喜ぶべ。」 といって、道を教えてくれる。 村の住民は、すべてバーチャルの里の構成員である。

テレビ画面を撮影

途中から犬に案内されて、伊武雅刀扮する寺の住職に声をかけられながら進むと「老母」が出迎え、「立派になってー」と来訪者をほめたたえて迎え入れる。 そして、お互いに「母と子」を演じて過ごす。

最初の来訪者は、中井貴一演ずる東京の会社社長。 60歳を過ぎて独身。 心ならずも社長になり、部下にかしずかれるが、疎外された孤独感にさいなまれている。

2人目は、松嶋菜々子扮する独身で50歳台の女医。 認知症の母を亡くし、医師として何もできなかったことに、無力感と喪失感を覚えている。

3人目は、会社のラインから外れて定年退職した中年の男性。 退職金の折半を確認した妻に離婚され、子供からも敬遠され、孤独と無聊の中で暮らしている。

「子」たちは、「母」の演技に戸惑いながら「子」を演じ、しかしだんだんとその人間味に引き込まれてゆく。

「子」が就寝した枕辺で、「母」は小さい時にしたようにと、村に伝わる昔話をしてくれる。 (ドラマでは、この昔話が文楽人形を使って演出され、効果的であった。 )この昔話は、「子」たちの心に今はいない母を感じさせ、自身をさらけ出して「母」に接するようになる。

悩みを打ち明ける「子」に、「母」は「カード会社に叱られるかもしれないけど」といって、仮面をはずして人として対応するようになる。 そして、来訪者たちは癒され、自身をリセットし、この里を帰るところと感じ、「母」との触れ合いを求めて再訪したり延泊したりする。 バーチャルの里は実在する里に転じる。

この女性が「母」を演じてなぜそのように「子」を引き付けるのかは謎である。 しかし、一両年もしないうちに「母」が亡くなり、葬儀に訪れて顔を合わせた「子」たちの前に4人目の「子」(満島真之介)が現れ、「母」なる人の悲しい歴史と謎が解き明かされる。

原作は浅田次郎の同名小説。 さすがのストーリーテラーである。

結論はやや甘いかなと感じつつ、結構ほっこりした気分にさせられた。

ドラマで名演した犬が、「のこ」の芸名でキャストに名を連ねていたのは愉快だった。

 

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アジア版NATO

2024-09-28 20:20:16 | 日記

アジア版NATO

自民党の新しい総裁が石破茂氏に決まった。

わたしには、9人の候補者の中で、絶対総裁になってほしくない人はいたが、是非なってほしい人はいなかった。石橋氏は、なってほしくないグループには入っていなかったので、ほんの少しホッとしている。

彼の口調はシンネリムッツリで言質を与えないという感じだったが、昨日からはなかなか能弁である。

その発言の中で、わたしが一番気になったのは「アジア版NATO」の構想である。

この発言は国際的に注目をあびているようで、中国には警戒感を与えたのは当然として、アメリカからも時期尚早との見解が出されている。

わたしにはこの構想が非常に危険なものに思える。

NATOは明らかな軍事同盟であって、そのアジア版といえば、中国、北朝鮮、ロシアを意識したものになるだろう。当然世界の分断化を促進することになる。

日米安保条約の施行や自衛隊の運用にあたって、日本政府は憲法との整合性にそれなりに配慮をしてきたはずである。

日本を対立する勢力の一方の軍事同盟国に位置づけ、それをもって国の形を変えようというのは議論が逆である。

石橋氏には、事実を先行させて憲法を形骸化するような蛮行はぜひ慎んでもらいたい。孫子のために本当にそう思う。

 

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『虎に翼』終わる

2024-09-27 20:16:15 | 日記

『虎に翼』終わる

NHK朝ドラの『虎に翼』が終了した。

わたしはカミさんと朝飯を食べながら、ほぼ毎回このドラマを観てきた。観終わっての感想は「秀」である。

日本初の女性裁判官三淵嘉子さんをモデルにした主人公佐田寅子を演じた伊藤沙莉さんの演技は、最初はちょっとなじめなかったが、年齢が進むにつれて、「裁判官のおばさん」という雰囲気が見事に演じられていて感心した。

わたしは9月6日のブログに、このドラマの原爆被爆者による損害賠償請求裁判の場面についての感想を書いたが、それ以降のシーンで特に印象に残ったのは、尊属殺人の違憲性を巡る最高裁判所法廷の弁論場面だった。

男装の女性弁護士山田よねが、弁護する被告人に対して、尊属殺人の重罪規定を適用するのは、法の根幹にある道徳に反していることを指摘し、「クソ」だと断じる。それに対し、裁判長が「不穏当な発言」を慎むように注意する。それを同僚の弁護士轟が引き取って、陳謝しながら山田を励ます。

わたしはこのシーンの流れに、ドラマの基調が示されているように感じた。

『虎に翼』には実に多くの社会的あるいは個人的な問題が取り上げられている。ジェンダー差別、夫婦別姓、同性婚、被爆補償、外国人差別、家族制度等々、ドラマ当時に存在し、現在に持ち越されている問題が、当事者を登場させて提起されている。

しかし、そうした問題の不当性を劇中では徹底的には追及しない。いろいろな壁を提示し、壁に突き当たった当事者を受け入れる人や台詞を用意し、問題をそれなりに落ち着かせ、視聴者を納得させる。見事な起承転結である。

作者の吉田恵理香さんはインタビューで法律の問題に正面から向かい合い、書くべきことを書くという姿勢で取り組んできたと語っている。そして、もう30回くらいドラマが続いて欲しいくらい、書きたいことがあったという。

憲法14条にある「法の下の平等」を基軸に置き、女性問題を中心に人権や社会構造の問題に正面から取り組んだ吉田恵理香さんに拍手を送りたい。

NHKの朝ドラの大部分はわたしの記憶の中で新陳代謝されている。『虎に翼』は、多分代謝されずに記憶の中に留まるだろうウ。

 

公民館の庭で

ムクナ

ランタナ

ヒャクニチソウ

 

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ナスカの地上絵新たに

2024-09-25 19:35:04 | 日記

ナスカの地上絵新たに

山形大学の坂井正人教授らの研究班が、IBM研究所と共同して、AIを駆使して新たな地上絵を発見したとの報が伝えられている。

同大学は2004年から、ペルーのナスカ台地に散在する地上絵の研究を行ってきたが、航空写真の解析からAIが特定した1309地点の四分の一を現地調査し、新たに303点の地上絵を確認したという。

地上絵には二つのタイプがあるという・

一つは「面タイプ」で、地面を掘ったり、石を積み上げたりして作られている。平均的な大きさは約9メートルで、人形、ヒトの顔、家畜のような動物が描かれている。道路沿いに描かれ、人身供犠や家畜のことについて、歩きながら眺めて勉強したのではないかと、阪井教授らは考えている。

もう一つのタイプは「線タイプ」で、従来からわかっていて観光スポットとされていた、コンドルとかサルのような地上に線で描かれたものである。大きさは平均で大体90メートルで、約50点が確認されている。坂井教授らは、このタイプの地上絵は宗教的儀式に使われたと考えている。

なおこの研究結果は米国アカデミー紀要に掲載されていて、下記のウェブサイトから地上絵の画像を見ることができる。

AI-accelerated Nazca survey nearly doubles the number of known figurative geoglyphs and sheds light on their purpose | PNAS

ナスカの地上絵については、2022年7月にこのブログで取り上げたことがある。

そこにも書いたが、マリア・ライヒェというドイツ生まれの女性が、1938年に、アメリカの考古学者とともに地上絵を発見し、以来彼女はその守護神として一生を過ごした。時によると地上絵を私物化したような振る舞いをして、他の研究者の調査を妨害することもあったが、ペルー政府はその功績を認め、彼女の誕生日は国民の休日となっている。

彼女は地上絵に天文学的な意味づけを与え、いろいろな仮説を提起しているが、それは根拠がなく、想像上のものとみなされている。

しかし、彼女以外の考古学者が提案した、天文学的あるいは水文学的な仮説も、具体的な証拠を欠いているようである。

山形大学の研究班が提起した説の根拠や確かさについてはわたしにはわからないが、ナスカの民は文字を欠いており、状況証拠的なことに基づいていることは確かだろう。

地上絵はまだ500以上は見つかるだろうと、坂井教授は言っている。地上絵の持つ意味はさらに明らかにされていくだろう。

わたしは、この前のブログに、地上絵はナスカの人々の遊び心によって描かれたものという、全く無責任・無根拠な仮説(?)を提案した。

研究者には叱られるかもしれないが、ナスカの地上絵は謎のままでいてくれる方が面白いと、わたしは思っている。

マリア・ライヒェ書斎(既出)

ライヒェの研究ノート

ナスカ地上絵「ハチドリ」

同「手」

写真はいずれも2011年撮影

 

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アリの会話

2024-09-23 19:13:52 | 日記

アリの会話

一昨日NHKEテレで再放送された「サイエンスZERO アリに言葉あり」は面白かった。話題はアリの音によるコミュニケーションで、岡山理科大学教授の村上貴弘さんのユニークな研究が紹介された。

研究対象にされたのは中南米に生息するハキリアリ。わたしはこのアリにサンパウロ大学の研究室でお目にかかったことがある。

100万匹単位の大家族集団で、その名の通り木の葉を切り取って巣に運び、キノコを栽培してえさにしている。農業をするアリともいわれる。

テレビ画面を撮影

分業が発達していて、葉の切り取り、切り取った葉の運搬、キノコの栽培、清掃、幼虫の世話など30種類くらいの仕事に分かれているという。

地下に作られる巣は大きくて、トラックが上に乗っかると沈んでしまうという話を聞いた。

ハキリアリが何か音を出しているということは以前から言われていたが、村上さんはこの音を拾う特別なマイクを作って、ハキリアリの音を解析した。10種類以上の音があるという。以下番組で紹介されたことを記述する。

葉を切り取るときに音を出す。無用で切り取る必要のない葉の上ではこれとは違った音を出す。切り取るときの音は他のアリを誘導する。

巣を壊すと女王アリが音を発する。部下のアリを鼓舞して巣の修理と外敵の警戒に当たらせる。

音を出さないようにすると、アリはキノコを育てなくなる。音が聞こえないようにするとアリはウロウロするだけで社会的行動をしなくなる。

ハキリアリの近縁種を調べると、進化の順が新しくなるにつれて集団が大きくなり、音を出す頻度が増加する。大きな社会集団の維持には、音によるコミュニケーションの必要性が増加しているといえる。

アリは音を出すものと出さないものの2種類に分かれる。腹部と胸部の境目にある腹柄節が2個あるアリは音を出す。腹部の上部に表面がギザギザの発音器官があり、これをこすって音を出す。打楽器のギロと同じ仕組みである。

ギロ

音の受容器官は肢にある。空気の振動でなく、肢が接触している枝ような固形物を通ってくる振動を受信する。

わたしは。アリがフェロモンによって情報伝達をするのは知っていたが、音でコミュニケーションを取っていたことは知らなかった。

村上さんの発見は、世界で初めてだそうである。耳では感じることのできないかすかな音を拾い、それらの音の持つ意味を解明した、ユニークなそして粘り強い研究の成果に心から拍手を送りたい。

ハキリアリは農業害虫で、農薬によって駆除されている。村上さんは音を通じてハキリアリとコミュニケーションをはかり、うまく共生できないかと考えている。

そんなことができたらなんと素晴らしいことだろう。

 

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50-50

2024-09-21 19:35:08 | 日記

50-50

大谷翔平選手が50本塁打50盗塁を達成した。大リーグ前人未到とのこと、全く素晴らしい。やろうと思ってもできないことを、彼はやろうとしてやってしまう。

試合後のインタビューの対応も、素直で如才なく好感が持てる。すべての人に愛されるように生まれ育ってきた好青年である。だから、ゴリラのような大リーガーたちに混じっても、ニコニコしていられるのだ。

日本人大リーガーとしては、松井選手の打点を超え、イチロー選手の盗塁数に迫っている。しかし、大谷選手のホームラン数はイチロー選手よりはるかに多い。ホームランを打つと盗塁をすることができないことを考えると、盗塁数もイチロー選手を越えているといってもいいのではないだろうか。

大リーガー前人未到の記録は、48-48のときには達成されていた。しかし、それほど騒がれず、50-50への期待の方が多く語られていた。

人間は10で区切られた数字を好む。○○十周年記念、□□十年代等々。これはヒトには5本の指があって十進法を採用しているからだろう。

もし、ヒトの指が4本で八進法を採用していたら、48-48を大谷選手が達成した時点で、60-60の大記録と大騒ぎしていたことだろう。

もっとも、ヒトの指が4本だったら、人類が野球をやっていたかどうかは不明であるが。

 

天晴れ大の里

わが町の二所ノ関部屋関脇、大の里が14日目で優勝を決めた。これまでに3敗している大関豊昇龍が相手でやや心配したが、内容は圧勝。今場所の好調ぶりを象徴する一番だった。

先々場所の優勝に次ぐ先場所は、序盤に迷いがあり9勝6敗に終わったが、これがいい薬だったか。物言いのついた相撲が3番あったが、内容はすべて圧勝だった。

来場所の大銀杏を結った大関の姿を見るのを楽しみにしている。

 

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胸つぶれる思い

2024-09-20 19:32:41 | 日記

胸つぶれる思い

凶刃に襲われてなくなった中国日本人学校のお子さんのことを思うと、胸がつぶれる思いがする。

こんなことは絶対にあってはならない。真相は究明され、明らかにされなければならない。

わたしは、この事件に、1世紀にわたる歴史の重みがかかっているように感じる。

その重みをわがこととしても受け止め、亡くなったお子さんとご遺族に、心からの哀悼をささげる。

合掌

 

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