好調の米株式相場、下落に備える時期到来か-季節的な要因が影響も
Elena Popina、Jess Menton
2023年7月31日 1:10 JST ブルームバーグ
株安に備えたプロテクション「かつて目にしたことがないほど安い」
S&P500種は7月も上昇の勢い-5カ月連続高に向かう
好調な米株式相場を受けて現在トレーダーの間では怖いものなしといった雰囲気も見られるが、一方でそうした状況を背景に売り浴びせが起きる可能性に身構えるストラテジストも一部に存在する。
S&P500種株価指数は年初から19%上昇しており、様子見していた投資家も市場に戻ってきた。ドイツ銀行の分析によれば、トレーダーの株式へのエクスポージャーは歴史的に見ても高い水準にある。
相場動向を懸念してヘッジを考えているトレーダーはほとんどいないようだ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらはリポートで、オプション市場で株安に備えたプロテクションを買うのは「かつて目にしたことがないほど安い」と指摘。コールオプションの売買高は今月、プットオプションを大きく上回り、その差は2021年12月以来の大きさとなった。
だが懸念すべき理由はある。高インフレへの対応で急速な利上げを続けてきた米金融当局は、現在ソフトランディングの達成を目指している。ただリセッション(景気後退)を招くことなくインフレを抑制するという難事業が完全に成し遂げられた例はほとんどない。さらに、8月と9月は時期的にS&P500種指数にとって1年で特にリターンの悪い2カ月となることが多い。
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ストック・トレーダーズ・アルマナックの編集者ジェフリー・ハーシュ氏は、「強気のセンチメントと季節的な弱さを受け、われわれの逆張りアンテナはやや反応している」とし、「様子見していた弱気派が今ではこのモメンタムを追いかけているほか、乗り遅れることへの恐怖(FOMO)を感じている投資家も全て参加している。つまりこれは、この上昇が近く停止することを意味する」と述べた。
S&P500種については、いったん下落しその後回復するとの予想が年初の時点では大勢だったが、実際はそうしたコンセンサスに逆らうように上昇を続けている。そうした状況を受け、パイパー・サンドラーのマイケル・カントロウィッツ氏やモルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏ら弱気派は自身のスタンスを調整している。
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S&P500種は7月に月間で上昇の勢いとなっており、実際そうなれば5カ月連続高となる。ただ上昇のモメンタムは伸長しているようにも見受けられる。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のプット・コール・レシオはここ1年余りで最も低い水準だ。ゴールドマン・サックス・グループがまとめたデータによれば、これは歴史的に見ると、株式相場が向こう3カ月にわたってほぼ横ばいとなることを示している。
加えて季節的な要因がさらなる向かい風となり得る。過去30年間を見ると、8月と9月はS&P500種のパフォーマンスが1年のうち特に悪く、8月は0.2%安、9月は0.4%下落となっている。
原題:Stocks Are Doing So Well That It May Be Time to Start Worrying(抜粋)
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