米小型株が再び活況、大型ハイテク株投資の暗転で再評価の動き
Isabelle Lee、Denitsa Tsekova
2024年7月27日 15:57 JST
銘柄選びが再び活発化、敬遠されてきた小型株や銀行株に分散投資
小型株の指標ラッセル2000は3週連続の上昇
ウォール街で2024年に確実に利益を生み出す取引として期待されてきた大手ハイテク株への集中投資は暗転し、モメンタム投資家は株価ボラティリティーの急激な高まりで打撃を受けた。
テスラの期待外れの業績やアルファベットの支出に対する懸念が、債券や商品の人気トレードが裏目に出たことと重なり、幅広いアセットで混乱に拍車がかかった。しかし、こうした中で見逃せないトレンドがある。小型株や銀行株など株式市場で敬遠されてきた銘柄が突如活況を呈し、個別銘柄選びが再び流行していることだ。
ハイテク7社から成るいわゆる「マグニフィセント・セブン」が今年の相場上昇で前例のない比重を占めてきたことから、時価総額加重指数へのやみくもな熱狂は揺らいでいるように見える。個人投資家や機関投資家は、消費財からヘルスケアまであらゆる銘柄に資金を投じることで、新たな勝ち組に分散投資しようとしている。ハイテク主導の相場に打ち勝とうとの試みが無残な結果に終わっているにもかかわらずだ。
「ハイテク大手のバリュエーションは高過ぎ、人工知能(AI)テーマの投資が期待外れとなるリスクは高まっている」と、ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は指摘。「超大型株の調整と値固めで、他の分野にチャンスが生まれるため、銘柄選びには良い時期となるだろう」と語った。
Investors Rush Back to Laggards | Small caps set for best outperformance against S&P 500 since 2000
7月の相場乱高下は、マグニフィセント・セブンを構成するハイテク7銘柄に賭けることが、もはや簡単で確実に成功する取引ではないことを裏付けている。これら銘柄の圧倒的な影響力は、最近の取引で株価指数に重くのしかかっている。その結果、投資家は米リセッション(景気後退)懸念が薄れるにつれ、市場の別の分野に投資している。
S&P500種株価指数は今週0.8%下げたが、構成銘柄のうち300銘柄以上が上昇して週を終えた。小型株の指標であるラッセル2000は3週連続の上昇となり、7 月のS&P500種に対するアウトパフォーマンスは過去24年間で最大となっている。ラッセル2000のパフォーマンスに連動する投資成果を目指す上場投資信託(ETF)「iシェアーズ・ラッセル2000ETF」への資金流入は過去2番目に速いペースだった。
小型株への資金流入には、経済データによる裏付けがあると考えられている。25日発表の米国内総生産(GDP)は、米国の消費者と企業の回復力を示した。また、26日に発表された6月の米個人消費支出(PCE)コア価格指数は緩やかな上昇にとどまり、連邦準備制度が9月に利下げに踏み切るとの観測を後押しした。
これらすべては、出遅れ銘柄が今後追い付くとの期待への追い風となっている。投資家がテクノロジー以外の投資機会を探す中、7月に株式ETFの10セクターのうち9セクターで22年以来となる資金流入を記録した。
一方、取引所全体の売買高に占める株式ETFの割合は最近、14%にまで落ち込み、5年間の平均である30%を下回った。これは、投資家が幅広い指数よりも個別銘柄の取引を好んでいることを意味していると、ブルームバーグ・インテリジェンスのアタナシオス・プサロファギス氏は指摘する。
ETF Share of Total Trading Declines
Investors have turned away from index-tracking funds in the past month
Source: Bloomberg Intelligence
原題:Big Tech Trade Shudders Just as Stock Pickers Make a Comeback(抜粋)
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