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シンガポールのGIC、日本企業との対話強化-投資チーム拡大へ 2024年5月28日 18:02 JST 更新日時 2024年5月28日 19:09 JST

2024-05-28 20:29:04 | 日記
シンガポールのGIC、日本企業との対話強化-投資チーム拡大へ
田村康剛、David Ramli、Lisa Du
2024年5月28日 18:02 JST 更新日時 2024年5月28日 19:09 JST

成長につながる解決策や成果、戦略を模索-ヤオ副最高投資責任者
日本案件扱う40人のチームを増員、魅力的な投資機会の拡大を期待

シンガポールのGICオフィス Photographer: Lauryn Ishak/Bloomberg
シンガポール政府投資公社(GIC)は、日本企業が経営改革に対し前向きになってきている中、投資先の日本企業とより深くエンゲージメント(建設的対話)を行い、企業財務や事業の成長戦略の手助けに関与していく意向だ。


  GICでグループ副最高投資責任者(DGCIO)を務めるブライアン・ヤオ氏は28日、ブルームバーグのインタビューで、「積極的にエンゲージメントを行い、企業成長につながる解決策や成果、戦略を模索する」と語った。


  同時にヤオ氏は、日本に関する案件を担当している現在40人のチームを拡大する方針も表明。日本での投資機会は企業統治(コーポレートガバナンス)改革や金利上昇を背景に魅力的だとし、投資機会の拡大に期待感を示す。


  投資先として日本に好意的だとGICは公言してきたにもかかわらず、ポートフォリオ全体に占める日本の割合は、2019年3月末時点の12%から昨年は6%へ低下していた経緯がある。


アクティビストとは違う
  日経平均株価が今年3月に過去最高値を更新し、世界の投資家から日本への注目が高まるにつれ、企業に事業の売却や株主還元などを求める物言う株主(アクティビスト)の動きも活発になっている。対象も経営改革や株価の押し上げを迫るものにとどまらず、不動産含み益の顕在化を求めるなど広がりを見せる。


物言う株主が都心高層ビルの「含み益」実現要求-地価上昇で広がりも


  ヤオ氏は、GICのエンゲージメントはアクティビストとは違うとした上で、「過去1-2年間は企業価値の向上を巡って一層建設的な対話ができ、結果として株価上昇につながった」と説明。今後日本では、十分に活用されていない不動産や非中核事業の売却に関する議論もあり得るとの認識を示した。


  不動産を含め日本企業のファンダメンタルズやバリュエーション(評価尺度)は非常にポジティブであり、「現在抱えている案件のパイプラインは、3年前や5年前に比べ格段に大きくなっている」と言う。


アニメ、不動産にチャンス
  ヤオ氏は、日本のアニメやゲームといった知的財産(IP)に関連する上場株式も魅力的で、「日本のIPには多くの成長やリターンの可能性が眠っている」とも話した。サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)であるパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は、家庭用ゲーム機・ソフトメーカーの任天堂株に投資している。


  世界最大のSWFの一つであるGICは運用資産を明らかにしていないものの、調査会社のグローバルSWFによる推定では約7690億ドル(約121兆円)となっている。


  GICによる日本での投資対象の多くは宿泊施設やリゾート、物流施設など不動産だ。22年には西武ホールディングスから苗場スキー場などを含む26施設を1237億円で取得した。また、ソニーグループや富士通の株式にも投資し、23年3月には米投資ファンドのベインキャピタルと共同で人事給与システムのワークスヒューマンインテリジェンスを買収すると発表した。


  インタビューに同席したGICジャパンの代表取締役を務める杉本健氏は、日本の不動産にも投資機会を見いだしている。物価や賃金、金利が上昇する中、日本の不動産市場は「過去に例を見ない領域」に入ってきており、ファンダメンタルズや流動性なども評価できると指摘した。


  GICは昨年7月、厳しい市場環境や地政学リスクなどの影響から5年間のリターンが16年以来の低水準となった。ただ、シンガポール当局から資金注入を受け続けており、他の投資家が手を引く局面でも積極的な投資を行うことが可能な資金力を持つ。2月には最高執行責任者(COO)を交代させ、ヤオ氏をDGCIOに起用するなど運用幹部のてこ入れを図った。


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(インタビュー内容の詳細を追記します)
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