FRB高官、市場けん制 「利下げ」視野に買い過熱
北米
2023年12月19日 5:49
クリーブランド連銀のメスター総裁は大幅利下げ観測をけん制=ロイター
【ニューヨーク=竹内弘文】米連邦準備理事会(FRB)の高官から、株式相場の高騰をけん制する発言が相次いでいる。市場では2024年の大幅な利下げシナリオを前提に楽観論が広がり、18日は連日の最高値更新が視野に入る。FRBはこうした市場の過熱が実体経済に広がり、インフレ鎮圧の妨げになるリスクを警戒している。
米東部時間18日の午後3時30分(日本時間19日午前5時30分)時点でダウ工業株30種平均は前週末比20ドル程度高い3万7300ドル台で推移している。同水準で引ければ、小幅ながら8日続伸となり、4営業日連続で史上最高値を更新することになる。
主要ハイテク銘柄で構成するナスダック100株価指数は前週末比0.8%程度高い水準にある。こちらも前週末に続いて史上最高値を更新する可能性が高い。インフレ圧力が緩まるなか、FRBの利上げ局面は既に終わり、24年には5〜6回以上の利上げがあるとの見方が市場の大勢となっている。リスク資産である株式にマネーが向かいやすい土壌ができている。
クリーブランド連銀のメスター総裁は18日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、「市場は少し先走っている」と大幅利下げの織り込みにくぎを刺した。米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の政策金利見通し(中央値)では24年中の利下げ回数は3回だ。
シカゴ連銀のグールスビー総裁は19日朝に米CNBCに出演し、12〜13日のFOMCでは利下げについて「議論していない」と説明。FOMC後の急速な株高など市場反応については「少し混乱した」と述べた。24年はじめに公表予定のFOMC議事要旨では「タカ派」的な文言が多く載る可能性がありそうだ。
FRB高官によるけん制を受けて米債券市場では金利上昇が進み、前週末比0.06%%高い3.97%まで上昇(債券価格は下落)する場面もあった。ただ、強気に傾く米株市場では影響は限定的だった。
米ゴールドマン・サックスは前週末、主要な指数の1つであるS&P500種株価指数の24年末目標を、従来の4700から5100へ改めた。前回の目標引き上げから1カ月程度の短期間での再度引き上げとなった。
ゴールドマンが各市場動向などからまとめる米国金融環境指数は、約1年4カ月ぶりの緩和水準にある。投資家心理の好転を反映した金融環境の緩みは、家計や企業の行動を通じて実体経済に影響する。結果、金融引き締めの効果が薄まりかねない。
物価上昇率は徐々に落ち着いてきたとはいえ、FRBの目標2%はなお上回る水準だ。金融環境の緩みが続けば、インフレ沈静化に向けた「ラストワンマイル」は想定よりも遠のく懸念がある。
北米
2023年12月19日 5:49
クリーブランド連銀のメスター総裁は大幅利下げ観測をけん制=ロイター
【ニューヨーク=竹内弘文】米連邦準備理事会(FRB)の高官から、株式相場の高騰をけん制する発言が相次いでいる。市場では2024年の大幅な利下げシナリオを前提に楽観論が広がり、18日は連日の最高値更新が視野に入る。FRBはこうした市場の過熱が実体経済に広がり、インフレ鎮圧の妨げになるリスクを警戒している。
米東部時間18日の午後3時30分(日本時間19日午前5時30分)時点でダウ工業株30種平均は前週末比20ドル程度高い3万7300ドル台で推移している。同水準で引ければ、小幅ながら8日続伸となり、4営業日連続で史上最高値を更新することになる。
主要ハイテク銘柄で構成するナスダック100株価指数は前週末比0.8%程度高い水準にある。こちらも前週末に続いて史上最高値を更新する可能性が高い。インフレ圧力が緩まるなか、FRBの利上げ局面は既に終わり、24年には5〜6回以上の利上げがあるとの見方が市場の大勢となっている。リスク資産である株式にマネーが向かいやすい土壌ができている。
クリーブランド連銀のメスター総裁は18日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、「市場は少し先走っている」と大幅利下げの織り込みにくぎを刺した。米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の政策金利見通し(中央値)では24年中の利下げ回数は3回だ。
シカゴ連銀のグールスビー総裁は19日朝に米CNBCに出演し、12〜13日のFOMCでは利下げについて「議論していない」と説明。FOMC後の急速な株高など市場反応については「少し混乱した」と述べた。24年はじめに公表予定のFOMC議事要旨では「タカ派」的な文言が多く載る可能性がありそうだ。
FRB高官によるけん制を受けて米債券市場では金利上昇が進み、前週末比0.06%%高い3.97%まで上昇(債券価格は下落)する場面もあった。ただ、強気に傾く米株市場では影響は限定的だった。
米ゴールドマン・サックスは前週末、主要な指数の1つであるS&P500種株価指数の24年末目標を、従来の4700から5100へ改めた。前回の目標引き上げから1カ月程度の短期間での再度引き上げとなった。
ゴールドマンが各市場動向などからまとめる米国金融環境指数は、約1年4カ月ぶりの緩和水準にある。投資家心理の好転を反映した金融環境の緩みは、家計や企業の行動を通じて実体経済に影響する。結果、金融引き締めの効果が薄まりかねない。
物価上昇率は徐々に落ち着いてきたとはいえ、FRBの目標2%はなお上回る水準だ。金融環境の緩みが続けば、インフレ沈静化に向けた「ラストワンマイル」は想定よりも遠のく懸念がある。