10年物米国債利回り5%の懸念が再燃-原油高騰で
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Bloomberg
(ブルームバーグ): 原油価格が今年最高水準まで急騰する中、フェデレーテッド・ハーミーズのチーフ株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏はその勢いを楽しんでいる。
「心地よい音楽のようだ」と同氏は2日、ブルームバーグテレビジョンの番組「サーベイランス」で語った。オーランド氏が喜んでいる理由は、エネルギー株の「オーバーウエート」ポジションを持っていることだが、もっと深い理由もある。原油価格の上昇は、旺盛な需要、つまり経済の力強さに起因するものだと考えているからだ。このことは、ハイテク株だけでなく株式市場の他の分野に良い影響を与えるはずだという。
ハイテク株の「マグニフィセント7は過去1年3カ月に99%上昇している。忘れられた他の493銘柄は22%上昇だ。当社は相場上昇が多くの銘柄に広がると予想してきた」と同氏は語った。
少なくとも2日の市場は、そのように受け取らなかったもようで株価は下落した。米国債の下落(利回り上昇)が影を落としたとみられるが、債券値下がりの一因はインフレを高止まりさせかねない原油価格の高騰だ。トレーダーは、メキシコや中東での供給混乱を懸念しているが、同時に産業界の消費拡大も見込んでいる。
チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は、原油高の「原因はひとえに需要増だ」と述べ、「コモディティーのスーパーサイクルは通常、生産能力への投資不足による供給不足によって引き起こされるが、米国の原油生産量が1日当たり約1300万バレルある現在は、そのようなことはない」と説明した。
このような状況で、長期の債券は現時点でどの程度脆弱(ぜいじゃく)なのだろうかという疑問が浮上する。
FSインベストメンツのチーフ市場ストラテジスト、トロイ・ガヤスキ氏によれば、その答えは「非常に」脆弱というものだ。10年物国債利回り5%が、ウォール街の話題に戻ってきた。利回りは2日に一時、年初来の高水準である4.4%に達した。
「いずれ5%の水準を試す可能性がある。その可能性は絶対にあると、引き続き考えている」とガヤスキ氏は述べた。
米経済はその強さでアナリストを驚かせ続けている。インフレ率は低下しているかもしれないが、多くの人が考えているほど急速な低下ではない。そして、米連邦準備制度の今年の利下げ予想を債券トレーダーは後退させ続けている。
利下げ見通しが遠のき債券利回りが上昇すればするほど、株式バリュエーションの足かせになり得る。
今はまだそこには至っていない。JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、デービッド・レボビッツ氏は、エネルギー価格上昇のリスクを認めながらも、強い製造業のデータと合わせて考えれば堅調な経済の表れであり、株価は引き続き支えられるとみている。
(ブルームバーグ・サーベイランスはブルームバーグテレビジョン・ラジオの朝の番組です。この記事は番組の一部を紹介したものです)
原題:Fears of 5% Yields Are Back, Thanks to Oil’s Surge: Surveillance(抜粋)
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Lisa Abramowicz