米国株、ダウ反落し112ドル安 ハイテク株に売り ウクライナ情勢やインフレを警戒
米国・欧州株概況2022年3月11日 6:27
【NQNニューヨーク=川内資子】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比112ドル18セント(0.3%)安の3万3174ドル07セントで終えた。ロシアとウクライナの外相会談が目立った進展なく終え、投資家心理を冷やした。2月の米消費者物価指数(CPI)を受けてインフレ警戒が改めて強まり、ハイテク株を中心に幅広い銘柄に売りが優勢となった。
CPIは前年同月比7.9%上昇と伸び率は1月(7.5%)から拡大し、市場予想(7.8%)も上回った。欧米による対ロ制裁を背景に原油価格が高止まりし、高インフレが長く続くとの見方が多い。CPIを受け、米長期金利は一時2.02%と前日終値(1.95%)から上昇した。
長期金利上昇を受けて高PER(株価収益率)のハイテク株が売られた。スマートフォンのアップルは3%下げ、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムも安い。物価上昇によるコスト高が収益の重荷になるとの見方から、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や飲料のコカ・コーラなどディフェンシブ株の一角も下げた。ロシア市場からの撤退が伝わった金融のゴールドマン・サックスも安い。
半面、資源高の恩恵を受ける石油のシェブロンが3%上げ、建機のキャタピラーも買われた。幹部が10日の投資家向けイベントで「業績はウクライナ情勢による悪影響を大きく受けていない」と述べたと伝わった小売りのウォルマートは2%高で終えた。
ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比125.583ポイント(0.9%)安の1万3129.963で終えた。ソフトウエアのマイクロソフトや半導体のエヌビディアなど主力株が総じて下げた。前日夕に株式分割と自社株買い増額を発表したネット通販のアマゾン・ドット・コムは5%高で終えた。