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日銀マイナス金利「解除後」に関心強める市場、金利到達点で議論百出 2023年10月23日 12:12 JST ブルームバーグ

2023-10-23 18:29:05 | 日記

日銀マイナス金利「解除後」に関心強める市場、金利到達点で議論百出
日高正裕
2023年10月23日 12:12 JST ブルームバーグ

「中立金利」予想は0.5-2%と幅広い、元日銀マンは2%到達派
真実は0.5%と2%の中間ではないか-SMBC日興の奥村氏


早期のマイナス金利解除を既に織り込んだ金融市場は、日本銀行がその後どこまで金利を上げるのか、長期金利はどこまで上がるのかに関心を向け始めている。


  ブルームバーグがOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)カーブから導き出すマイナス金利解除の織り込みは年内が20%、4月までが100%だ。

  みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは、日銀が本格的な正常化に踏み込んだ場合、「どこまで利上げするか」がイールドカーブ(利回り曲線)形成を考える上で重要であり、その基準となるのが景気や物価に対し緩和的でも引き締め的でもない「中立金利」だと言う。

  エコノミストらが現状イメージする中立金利は0.5%から2%と幅広い。日本は2%の政策金利を30年近く経験してないが、日銀の元チーフエコノミストはそこまで利上げされる可能性があると警告している。一方、利上げ幅が0.5%にとどまれば、前回利上げ局面の2006-07年と同じで、金融政策の正常化は道半ばで頓挫することになる。

  金利上昇圧力が高まる中、世界で唯一マイナス金利を続ける日銀の方針転換はもはや既定路線と市場ではみられている。マイナス金利解除後の長期金利の動向は外債保有を増やしてきた国内投資家の円債回帰の鍵を握るほか、日銀が政策金利の展望を示すことが金利の安定につながるとの見方もある。

日銀の短期政策金利が2%だったのは30年前 | 日銀が誘導目標としてきた無担保コール翌日物金利の推移



  元日銀調査統計局長の関根敏隆氏は中立金利を1.8%とみている。中立金利は自然利子率とインフレ率の和で、前者は日銀の分析でゼロ%程度。生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価(CPI)の2年先の見通しが「日銀が考える基調的なインフレ率」で、双方を足した水準だ。長期金利は「さらに1ノッチ(段階)上がっていくのが自然な姿」であり、2%程度まで上昇する可能性があるとしている。

長期金利2%に上昇も、マイナス金利解除後に備えを-日銀元調査局長

  同じく調査統計局長経験者の前田栄治元理事は16日付の日本経済新聞で、中立金利は2%程度と指摘した。早ければ24年1月にマイナス金利解除、その後半年に0.25%ずつ引き上げ、「2%程度まで利上げする可能性もゼロではない」としている。そのペースで進むなら、2%到達は28年1月となる。

  一方、SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは中立金利を広いレンジで0.5-1.5%と位置付けており、日銀は下限の0.5%程度までの利上げを念頭に正常化プロセスを開始すると予測。正常化開始後1年以内に政策金利は0.5%に達する可能性があるとみる。丸山氏が想定する正常化開始時期の確率(9月15日時点)は24年3月以前が15%、4月が35%、同10月が40%だ。

  同証の奥村任シニア金利ストラテジストは、政策金利到達点の市場の織り込みを反映しているとして、足元で1%強にある4年後1年フォワード金利に注目している。数年前は日銀が利上げできても0.5%程度とみられていたが、米国で自然利子率が上昇しているとの議論が活発化し、日本の中立金利も変化している可能性があると分析。「真実は0.5%と2%の中間ではないか」と言う。

政策金利到達点の織り込みを反映か | 4年後1年フォワード金利は1%強で推移



  みずほ証の丹治氏は、日銀がイメージする中立金利を早期に示すことは短期金利の長期平均見通しを基に形成される長期金利の安定に大きく寄与するとの見方だ。正常化入りの際、日銀が中立金利のイメージを示す可能性は「相応に高いように思える」と話している。


エコノミストの見方

バークレイズ証券の山川哲史チーフエコノミスト

  日本の中立的な実質金利をマイナス0.5%、中長期的なCPI上昇率の基調を2%水準とすると、中立金利は最終的に1.5%前後に収れんする。日銀は当面、同水準を下回る0.5-1.0%を目安に短期政策金利を緩やかに誘導する可能性が高い。

モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅日本チーフエコノミスト

  日本の期待インフレ率はゼロ%ないしマイナスから抜け出したとは考えているが、 依然2%物価目標に十分アンカーされたかについては懐疑的だ。長期の期待インフレ率は1%程度で、名目の中立金利も1%程度にとどまる。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト

  日本の自然利子率はマイナス0.5%程度なので、2%インフレが定着する場合、政策金利は本来1.5%程度まで引き上げる必要がある。ただ、ゼロ金利政策が四半世紀続いた日本でそこまで引き上げるのは金融経済にストレスがかかる。金利上昇がインフレ上昇に追いつかない場合、実質金利の低下が円安インフレのスパイラルを引き起こすリスクがあるだろう。

野村証券の松沢中チーフストラテジスト

  中立水準として1.8%はやや高過ぎる。この景気サイクル中に日銀が中立水準まで利上げできるかも疑わしい。2%インフレを定着させるほど賃金上昇率がすう勢的に高まるにはかなりの時間を要する。政策金利が1%に達する頃には米国で見られたような銀行破たんに発展するリスクが意識される。

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