日本は介入で巨額の利益、「安く買って高く売る」典型-セッツァー氏
Carter Johnson
2024年5月1日 16:20 JST
日本は介入により明らかに金融利益が出ている-CFRセッツァー氏
日銀当座預金データ分析、4月29日に約5兆5000億円規模の介入示唆
日本の当局が4月29日にドル売り・円買いの為替介入を行ったとすれば、日本政府は「棚ぼた」の利益を得ただろうとの見方を米外交問題評議会(CFR)のシニアフェロー、ブラッド・セッツァー氏が示した。
というのも、日本が保有している外貨建て資産の多くは、現在よりもはるかに円高だった時代に購入されたものだからだ。介入が行われたと想定するセッツァー氏によれば、日本政府と日本銀行は投資の最も基本的な戦略である「安く買って高く売る」に最もシンプルなレベルで従ったことになる。
「外貨準備とはヘッジされていない外貨資産だ。外貨準備高の会計処理は常に複雑だが、明らかに金融利益が生じている」と、セッツァー氏は説明。「最大級の棚ぼた利益の一部は日本政府のバランスシートに収まっていることになる」と論じた。同氏は米財務省でエコノミストとして働いていた。
ブルームバーグが日銀当座預金データを分析したところ、政府・日銀は祝日だった4月29日に円を買い支えるために2022年以来となる為替介入を行ったもようだ。薄商いの中、円は対ドルで34年ぶりの円安水準から急反発した。
外貨準備とは、経済や金融環境にストレスがかかった場合に利用できる防衛資金として政府が保有する自国通貨建て以外の資産だ。金融市場の相場上昇・下落により価値が増減し、利用すれば補充する必要がある有限の資源でもある。
セッツァー氏はX(旧ツイッター)への投稿で、日本政府と年金積立金管理運用独立法人(GPIF)は2000年以降、約1兆2000億ドル(約189兆円)相当のドルとユーロを買い入れたと推計。
「日本が円を売ってドルを買ったのは、1ドルが80円で買えた時代で、今は155円で売れる。外貨準備は金銭的に大幅に膨らんでおり、幾らか利益を得るのは理にかなっている」と同氏は指摘した。
29日の為替介入は5.5兆円規模の可能性、日銀当座預金見通しが示唆
ブルームバーグの算出によると、当局は4月29日に約5兆5000億円規模の介入を実施。
セッツァー氏は「予想していた範囲の中では多い額だった。これは当局が市場と闘っており、市場は当局を試していることを示唆する。市場は納得せざるを得ないだろう。なぜなら、日本は散々取り沙汰されていた150円では介入せず160円まで待ったからだ」とコメントした。
原題:Huge FX Gains Are Japan’s Benefit From Intervention, Setser Says(抜粋)
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