運用担当責任者の設置など5原則、アセットオーナー向け行動規範案
梅川崇
2024年6月3日 18:45 JST
政府は3日、公的年金などのアセットオーナーに対する行動規範の原案を公表した。受益者の最善の利益を追求する上で、必要によっては外部知見の活用を検討するなど5つの原則から構成される。
具体的には、運用規模や運用資金の性格によっては、資産運用の経験を有する運用担当責任者を設置し、必要な監督を行うことも考えられるとした。そのほか、運用目的に合った運用目標や方針の設定、運用状況についての情報提供といった原則を挙げた。
アセットオーナーには公的年金のほか、共済組合や企業年金、保険会社、大学ファンドのほか、資産運用を行う学校法人などが含まれる。行動規範を策定することで、適切な運用体制が備わっているかどうかを自ら点検し、運用力の向上につなげることを狙う。
行動規範案では、アセットオーナーに対して各原則を実施するのか、あるいは実施しない理由などを自身のウェブサイトなどを通じて一般向けに公表することを期待するとしている。今後パブリックコメントの結果などを踏まえて、8月末までの最終化を目指す。
岸田文雄政権は、家計の金融資産などの運用を担う資産運用業とアセットオーナーシップの改革を進める方針を打ち出している。
確定給付企業年金の運用においては、企業の人事異動で資産運用経験のない人材が配置されることも多く、成果報酬など個人へのインセンティブもないといった課題も指摘されている。
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