MUFG、インド最大手銀ノンバンクに2600億円出資協議-関係者
鈴木英樹、布施太郎2024年4月12日 15:32 JST 更新日時 2024年4月12日 17:30 JST
- HDFC銀行子会社の株式20%の取得を検討、日印トップ銀がタッグ
- 人口増や経済成長で伸びが期待できる印リテール市場に本格参入狙う
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、インドの民間最大手HDFC銀行グループのノンバンクへの出資に向けて、同行と協議に入っていることが12日、分かった。計画されている案では、17億ドル(約2600億円)程度を投じて株式の約2割を取得する。高い成長が見込まれるインドのリテール市場に本格参入する。
事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。傘下の三菱UFJ銀行が「HDBファイナンシャル・サービス(HDBFS)」の株式をHDFC銀から取得する。実現すれば、日印のトップバンクがリテール分野で手を組むことになる。現在、細部の条件を詰めており、合意に至らない可能性もある。
中国を抜いて世界最大の人口大国となり、経済成長の著しいインドでは、政府主導で金融関連のデジタルインフラの整備が進む。一方の日本は低成長や少子高齢化が進み、大手邦銀グループは収益機会の拡大を狙って相次ぎインドに投資している。
HDFC銀はインド全土に7800以上の支店網を持つインド最大の民間銀行。法人、個人向け融資のほかグループで証券、投資銀行、保険などフルサービスの金融機能を提供している。インドの株式市場に上場しており、時価総額は21兆円超と米モルガン・スタンレーに並ぶ規模。
子会社であるHDBFSはHDFC銀が株式の約95%を保有するノンバンク。昨年3月末時点でインド国内の1054都市において、1492を超える店舗を構える。個人や中小企業向けローンのほか、デジタル技術を用いたモバイルバンキング・アプリによる消費者向け金融サービスも提供。23年3月期の税後利益は前期比94%増の195億9000万ルピー(約360億円)だった。昨年末時点での融資残高は日本円換算で約1兆5000億円。
MUFGは同日、「当社から公表したものではない」とのコメントを発表した。HDFC銀からのコメントは得られていない。
ミッシングピース
邦銀によるインド事業を巡っては、三井住友フィナンシャルグループが21年にノンバンクのフラトン・インディア・クレジット・カンパニー(現SMFGインディア・クレジット・カンパニー)を約2200億円を投じて子会社化すると発表。今年3月には約1000億円を追加出資し、完全子会社化した。みずほフィナンシャルグループも2月にノンバンクへの出資を発表している。
MUFGは、インドでデジタル融資を手掛けるDMIファイナンスに約300億円出資しているものの、一定規模を伴った投資案件の発掘を課題としている。関係者の一人は、MUFGにとってインドでの大型出資は同社のアジア戦略における大きな「ミッシングピース」だと語る。出資が実現すれば、インド最大手の金融機関が持つ強固な収益基盤を取り込むことができる。
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(第6段落にMUFGの発表コメントを追加します)
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