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インフレ期待の改善続く、物価ノルム変化を日銀注視-利上げ後押しも 2024年4月22日 9:30 JST更新日時 2024年4月22日 10:35 JST

2024-04-22 20:52:28 | 日記
インフレ期待の改善続く、物価ノルム変化を日銀注視-利上げ後押しも
伊藤純夫、藤岡徹2024年4月22日 9:30 JST更新日時 2024年4月22日 10:35 JST
  • 家計のインフレ予想は22年に米欧並み、23・24年も水準維持-調査
  • 投資家の期待値を示す指標も初めて1.5%超え、市場の見方にも変化
近年の物価上昇と好調な賃上げを受け、日本経済のインフレ期待が改善を続けている。日本銀行は追加利上げも念頭に、これまで根強かった賃金や物価は上がらないことを前提とした考え方や慣行(ノルム)の変化を注視している。
  物価研究の第一人者で日銀出身の渡辺努東大大学院教授が毎年実施している調査によると、日本の家計のインフレ予想は、2022年の調査で米欧並みの水準まで高まり、23年と24年もその水準を維持している。今年は回答者の54%が「いつも買う商品の値段が10%上がっても同じ店で買い続ける」としており、同様の調査を行っている5カ国では米国の59%に次ぐ高さ。53%の英国とほぼ同水準となっている。

日本の家計はインフレへの耐性示す

いつも行くスーパーでいつも買う商品の値段が10%上がったら、あなたはどうしますか?

Source: 東大大学院の渡辺努教授の調査結果
Note: 回答者数の合計は5カ国全体で2万2650人
  日銀の調査でも、3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で企業が想定する消費者物価指数(CPI)の前年比が5年後まで2%超を維持。「生活意識に関するアンケート調査」で先行き物価が「上がる」と回答した人の割合が前回から増加した。物価連動国債の利回りから算出するインフレ期待であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も先週、一時1.5%を初めて超えるなど市場の見方も変化している。
  植田和男総裁は10日の国会答弁で、企業の賃金・価格設定行動の変化などを踏まえ、賃金と物価が上がりにくいことを前提としたノルムは「かなり変わり始めている」との認識を示した。インフレ期待の改善を示す一連の動きは、植田総裁の見方を裏付けるもので、日銀の追加利上げを後押しする材料になり得る。 
  インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、日本のインフレ期待の強まりは「日本経済にとって大きな変化だ」と指摘。その上で、「よほどの政策ミスがない限り、デフレマインドに戻ることはないだろう」との見方を示している。
  日銀が26日の金融政策決定会合後に公表する新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、ノルムの変化についてどのように表現するかも、次の利上げのタイミングを占う意味で注目される。前回1月は、こうしたノルムが残り続ける場合は賃上げの動きも強まらず、物価が下振れる可能性があるとしていた。

日本企業のインフレ期待が上昇

5年後の物価上昇率を約2%と予想

Source: 日本銀行

物価の基調
  中東情勢の緊迫化も背景に原油価格が上昇基調にある中、外国為替市場では約34年ぶりの1ドル=154円台まで円安が進行している。コストプッシュ圧力の一段の強まりが、インフレ期待など物価の基調的な動きにどの程度影響するかが政策対応の是非を判断する上でのポイントとなる。
  植田総裁は18日、米ワシントンでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の会見で、円安が輸入財の価格上昇を通じて日本の物価に影響を与える可能性はあるとし、「無視できない大きさの影響が発生した場合には、金融政策の変更もあり得る」と語った。19日の講演では、日銀は慎重に政策を進めるとしながらも、基調的な物価トレンドが改善すれば、さらに金利を引き上げる公算が大きいと指摘した。

  ブルームバーグが12-17日に実施したエコノミスト調査では、来週の決定会合に関して、3月に大きな政策変更を決めたばかりであり、ほぼ全員が金融政策の現状維持を予想した。2%物価目標の実現がメインシナリオになる中、エコノミストらは展望リポートで示される物価見通しとそのリスクバランスの変化に注目している。
  S&Pグローバル・レーティングスのルイス・クイジスアジア太平洋地域チーフエコノミストはリポートで、日本経済は「数十年間、ほとんどインフレが起きなかったが、最近のインフレエピソードによって、より多くの企業が値上げに踏み切った兆しがある」と指摘。インフレは商品・エネルギー価格の上昇と通貨安によって始まったとしつつ、「重要なのは企業のインフレ期待が高まっていることだ」という。
  国際通貨基金(IMF)は、日本の物価上昇率が25年まで2%以上で推移すると予測している。日本ミッションチーフを務めるナダ・シュエイリ氏は19日のインタビューで、日銀は今後2年間に物価目標を完全かつ持続的に達成できる見通しで、金利を一段と引き上げることが可能になるとの見方を示した。
  三井住友信託銀行の岩橋淳樹シニアエコノミストは、「物価予想は変化した。ただそれが日銀が狙っているように2%にアンカーされるかはまだ不確実だ」と指摘。その上で、「賃金の動向が非常に重要になってくる」と述べた。
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(第8段落に植田総裁の発言を追加して更新しました)
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