なぜ台湾はM7.2の巨大地震にも迅速な対応が取れたのか
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台湾の人々は地震に慣れていないわけではない。だが3日に発生したマグニチュード7.2の地震は、過去25年で台湾で発生したものとしては最大規模だった。そのすさまじい威力にもかかわらず、当局の対応は的確だった。
地震が発生したのは午前8時頃で、震源地に近い東部花蓮県では、ちょうど朝の通勤・通学時間帯を迎えていた。当局者によると発生2時間以内に緊急避難所が設置され、住民130人以上が一夜を明かしたという。
台湾では1999年と2016年にも大地震が発生しており、99年の地震では2000人以上が死亡した。この地震は9月21日に発生したことから「921地震」と呼ばれ、建築基準法改正や災害管理法の強化につながった。9月21日には台湾全土で防災訓練の日に指定されている。 また2018年に発生した地震をきっかけに、地方自治体は災害対応や救援の面で、政府機関やNGOとの連携を強化した。
台湾の災害対応が迅速な理由がもう1つ――。それは中国からの武力攻撃に備えているからだ。台湾の領有権を主張する中国は、台湾に対する軍事的・政治的圧力を強めている。 携帯電話に鳴り響く台湾の地震警報システムは、中国からのミサイル攻撃が差し迫っている際に台湾政府が発する警報と同じものを使用している。
台湾の市や県は24時間体制で救助隊を待機させており、災害が発生した際にはほぼ瞬時に対応できるようになっている。そのため今回は花蓮県当局と警察、さらに花蓮市中心部の住民避難を支援した他の部隊が協力して、崩れかかった建物の1つを余震で倒壊する前に撤去した。
リンダ・チェンさんの一家は4日に自宅に戻った。一家は2018年の地震の際に自宅が被害を受け、今の自宅への転居を余儀なくされた。だが一家は、この自宅にも住めないと考えている。リンダさんは「こんな高層のアパートはもう探したくない。高層物件はもうこりごりだ。構造的に安定したものを探したい。今回の地震は、壊れにくいマンションの間取りを見つけるにはどうしたらよいかを気づかせてくれた。経験がある今なら、何か良い考えが浮かぶかもしれない」と話していた。