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世界最弱通貨となった「堕ちた円」、トルコやアルゼンチンを下回る2024上半期の驚きのパフォーマンス 7/4(木) 11:16配信 JBpress

2024-07-04 17:30:52 | 日記
世界最弱通貨となった「堕ちた円」、トルコやアルゼンチンを下回る2024上半期の驚きのパフォーマンス
7/4(木) 11:16配信
JBpress



 2024年上半期の名目実効為替相場を比較すると、日本円の下落率は弱い通貨として知られるトルコリラやアルゼンチンペソを下回った。
 2022年以降の下落率で見れば、トルコリラやアルゼンチンペソを上回ったが、それでも-35.5%とG7の中で最弱通貨だということに変わりはない。
 物価上昇率を加味した実質実効為替相場で見れば、円安の度合いはさらに高まる。実質ベースの通貨安を考えれば、インフレによる調整が不可避だ。
 (唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)


【著者作成グラフ】2024年の主要通貨の名目実効為替相場(NEER)。弱い通貨として知られているトルコやアルゼンチンを上回る下落率だ

■ 正真正銘の最弱通貨

 早いもので2024年も下半期に入った。2024年上半期を終えたところでの円の現在地を整理しておきたい。

 結論から言えば、円の現在地は悲惨な状況と形容せざるを得ない。主要な通貨の強弱を横並びで比較するにあたっては、名目実効為替相場(NEER)の強弱を見るのが分かりやすい。

 ※NEERとは、日本円と各国通貨の為替レートをそれぞれの国との貿易額などで加重平均したもの。各国の物価上昇率は反映していない。

 図表(1)では、G7やスイスといった主要通貨に中国、韓国、そして弱い通貨の代表格としてアルゼンチンやトルコも加えている。

 【図表(1)】

 6月25日時点のNEERは円が▲8.7%と最弱、これにトルコリラ(▲7.8%)、アルゼンチンペソ(▲5.6%)、スイスフラン(▲3.5%)と続いている。このうち、スイスフランは昨年まで圧倒的な騰勢を誇っていたことを思えば、あくまで反落の範疇と言える。

 日本円は、いよいよトルコリラやアルゼンチンペソを下回るパフォーマンスになったということだ。

 過去2年間、しつこいほど強調しているが、こうした大局的な視点を抜きにして「円安は金利差の結果。構造的な性質はない」と主張するのは浅薄すぎる。トルコリラやアルゼンチンペソが下落していることを対米金利差で語る者はいないだろう。

 ちなみに、日次で確認できる国際決済銀行(BIS)のNEERでは64カ国の通貨について確認可能だが、円の▲8.7%は全64カ国中で見ても最悪のパフォーマンスだ。


■ 対ドル変化率で見た円の本当の実力

 NEERに関し、図に掲載されていない通貨も含め、下落幅の大きい順に5つ並べると円、トルコリラ(▲7.8%)、ブラジルレアル(▲7.2%)、アルゼンチンペソ(▲5.6%)、メキシコペソ(▲4.3%)と続く。

 後述するように、常連のトルコリラやアルゼンチンペソはさておき、ブラジルレアルやメキシコペソはこれまでの上昇幅が大きかったことの反動である。その点を割り引く必要がある。

 なお、より直感的に分かりやすいだろう対ドル変化率に関し、G20通貨の動きを比較したものが図表(2)だ。

 【図表(2)】

 この場合、最弱通貨はブラジルレアル(▲14.4%)で円(▲14.1%)よりもやや下落幅が大きい。しかし、ブラジルレアルは2022年(+5.1%)、2023年(+8.2%)と2年連続で対ドルでの上昇を確保した稀有な通貨である(こうした通貨はG20通貨ではメキシコペソだけだ)。

 これに対し、円は2022年(▲14.6%)、2023年(▲6.9%)と2年連続、対ドルで下落した通貨だ。足許の変化率だけでは見誤る経緯がある。円だけが常に売られているという現実を直視する必要がある。

 経緯を見るという意味では次ページの図表(3)を見てほしい。円安局面の始まった2022年、それが続いた2023年そして2024年初来の変化幅を累積して各通貨を比較したものだ。

■ 「堕ちた通貨」と化した日本円

 例えば、ブラジルレアルと円の立ち位置を例に取ると、ブラジルレアルの2022~24年の累積変化率は▲1.0%ポイントと20通貨において上位3位に入る。

 ちなみに、1位はメキシコペソの+9.8%ポイント、2位はスイスフランの+0.7%ポイントだ。基本的に「ドルに勝てる」もしくは「ドルと互角」という通貨はこの3年間では極めて稀少な存在だったと言える。

 繰り返しになるが、2024年初来の動きに関し、ブラジルレアルやスイスフランの下落をスナップショットで評価するのはフェアではない。

 片や、円は▲35.5%ポイントとG20通貨で下から3番目だ。最下位はアルゼンチンペソの▲441.5%ポイント、次にトルコリラの▲109.5%ポイントが続いている。

 年初来の動きだけを捉えてアルゼンチンペソやトルコリラと円を同グループのように語るのは性急であり、この2通貨の弱さは別格である。もっとも、円の弱さはこの2通貨以外の通貨と比較した場合は別格とも言える。

 こうした変化率だけを見た場合、G20通貨の中にあって、円はアルゼンチンペソやトルコリラほど弱くはないが、それ以外の通貨と比べるとかなり弱いという立ち位置にある。「G7通貨の一角」と考えれば、「堕ちた通貨」というレッテルを貼られても致し方ない。


■ 円安調整のために不可避なインフレ

 以上の議論は名目ベースの現在地を確認したものだが、依然として大きい内外価格差を踏まえれば、実質ベースで見た円安の度合いはさらに強まる(実質実効為替レートで見た円は今年5月時点で1967年11月以来の低水準だ)。

 2024年2月の寄稿「円安を調整するのはインフレ経済か? 人手不足と賃金上昇はもはや既定路線の日本経済」でも論じているが、実質ベースの通貨安部分はFRB(米連邦準備理事会)の利下げだけでは挽回されず、多少なりとも日本のインフレという現象がなければ調整が進みづらい。

 最近、円と並んで頻繁に引き合いに出されるトルコリラやアルゼンチンペソは高インフレゆえの下落であり、その一方で自国通貨建て株価指数は堅調に推移している。日本がそれらの国の仲間だと言うつもりはないが、状況証拠は揃いつつるようにも見えるのが怖いところである。

 この点も、今年2月の寄稿「【日経平均・最高値更新の読み方】株高も円安も、不動産や高級時計の値上がりも、すべてインフレによる必然の帰結」で議論しているゆえ、ご参考にしていただけるかと思う。

 ※寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、2024年7月2日時点の分析です

 唐鎌大輔(からかま・だいすけ)
みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
2004年慶応義塾大学卒業後、日本貿易振興機構(JETRO)入構。日本経済研究センターを経て欧州委員会経済金融総局(ベルギー)に出向し、「EU経済見通し」の作成やユーロ導入10周年記念論文の執筆などに携わった。2008年10月から、みずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)で為替市場を中心とする経済・金融分析を担当。著書に『欧州リスク―日本化・円化・日銀化』(2014年、東洋経済新報社)、『ECB 欧州中央銀行:組織、戦略から銀行監督まで』(2017年、東洋経済新報社)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(2022年、日経BP 日本経済新聞出版)。

唐鎌 大輔


※ここからは個人的な意見です。
上記のような過激な発言や、言動が多くありますが、根本的な原因という
問題では、仮にも円が弱く、軟弱な通貨ならば、何故アメリカや欧州は円を売るのでしょうか?
それは、巨額での売買することが可能な通貨であるという、ある意味では安心して売れる通貨であると言えます。
ここで仮に、中国の通貨や、インドの通貨の方が流通量が多いので、売り浴びせるかというと、絶対にアメリカや欧州は実行しないでしょう・・・
これらの通貨は、未だ信頼性と巨額の資金を売り浴びせることが可能なのか不明なことが挙げられます。
売るのはいいのですが、買戻しが可能かがわから無いないためです。
日本の通貨は、驚くべき流通量を誇り、恐るべき大量の資金を売買しても、耐えられる通貨なのです。
ある意味では、株式市場も同様です。鉄鋼各社の株式を100万株単位で売買しても、流通して何ら問題は起きません。

そんな通貨が単に安いから、危険だとは考えにくいと思われます。
以上、個人的な意見ですので、単純に信じないでくださいね。※

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