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ユーロがキャリー取引の調達通貨にも-ゴールドマンとJPモルガン 2024年1月28日 17:05 JSTブルームバーグ

2024-01-28 21:03:14 | 日記

ユーロがキャリー取引の調達通貨にも-ゴールドマンとJPモルガン
Alice Atkins
2024年1月28日 17:05 JSTブルームバーグ

円はこの2年、最良のキャリートレード調達通貨だった
トレーダーは夏前のECB利下げ予想、ユーロは弱含む見通し


欧州中央銀行(ECB)の利下げが近づいていることからユーロはキャリートレードの資金調達通貨として有力な候補になり、さらなる下押し圧力にさらされている。

  ゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースは、よりリスクの高い高利回りの通貨を買うためにユーロで借り入れることを推奨している。オールスプリング・グローバル・インベストメンツとナインティワン・アセット・マネジメントのマネーマネジャーは、新興国通貨に対するこの取引を選好しており、オールスプリングはユーロが米ドルに対して下落することも見込んでいる。

  ECB政策決定後のラガルド総裁会見が早期利下げ観測を呼ぶ結果になり、ユーロは10カ国・地域(G10)通貨の中で最悪の週間パフォーマンスを記録した。ユーロ圏の政策金利は2024年末に2.5%まで低下すると予想されている。

  ユーロが人気の資金調達通貨として台頭してきたことは、大きな影響を及ぼすかもしれない。過去2年にわたり日本の金利はマイナスだったため円を借りるコストは低く、円は過去数十年で最低の水準まで下落した。しかし、トレーダーらは日本銀行の利上げが近いと確信するようになり、代替通貨を探している。

  ゴールドマン・サックスのグローバル通貨・金利・新興市場戦略責任者、カマクシャ・トリベディ氏はユーロについて、ドイツ経済の停滞や民間セクターの活動低迷など「多くの厳しい逆風に直面している」と指摘。「魅力的な資金調達手段であり続ける」と述べた。

Euro Pressured as Traders Boost ECB Cut Bets



  ラガルド氏は25日、利下げに対するスタンスは変わらないと主張したにもかかわらず、経済成長の停滞、賃金上昇圧力の冷え込み、ディスインフレの継続を認めたことで、トレーダーは4月の0.25ポイント利下げをほぼ完全に織り込んだ。

  オールスプリングのポートフォリオマネジャー、ローレン・バン・ビルジョン氏は「欧州の成長はG10の他の地域よりも不安定に感じられる」と指摘。そのため「ECBが米国や英国に先駆けて4-6月(第2四半期)に利下げする余地が生まれ得る」と述べた。

  オールスプリングは今月、世界の債券ポートフォリオ全体でドルに対してユーロをアンダーウエートとするポジションを追加した。ユーロのボラティリティーは低く、対ドルの1カ月物インプライドボラティリティー(予想変動率)は2年ぶり低水準に近い。このため高利回りの新興国通貨のポジションを組むための調達通貨としてビルジョン氏が好む通貨の一つになっている。


Euro-Dollar Volatility Remains Subdued



  ゴールドマンはインド・ルピーに対してユーロが下落するとみており、約3%下げて1ユーロ=88ルピーになると予測している。よりリスクの高い取引としては、メキシコ・ペソとブラジル・レアルに対するユーロ売りを勧めている。

  JPモルガンのストラテジストは、米経済の強さ、地政学的リスク、ユーロ圏の弱さがユーロの回復を妨げていると言う。ユーロは年初来で1.6%下落している。

  JPモルガンのグローバルFX戦略共同責任者、ミーラ・チャンダン氏は、「中央銀行がハト派に転じる中、ユーロは回復を期待するよりもむしろ資金調達源として利用するのが最善だ」と述べた。

  利下げが実際に始まれば、この取引はより成功する可能性があるが、ドルと比較すると既に利益が出ている。

  ブルームバーグがまとめたデータによると、ユーロを借りて高利回りのアルゼンチン・ペソを買った場合、今月は8%のリターンが得られた。ドルを調達通貨とした場合は6%。円を借りた場合のリターンは11%だった。


本格的な乖離

  クレディ・アグリコルCIBのG10通貨調査責任者、バレンティン・マリノフ氏によると、顧客はメキシコ・ペソ、レアル、ルピーに対するユーロのショートについて話しているという。

  「第2四半期から日銀とECBの政策サイクルが本格的に乖離(かいり)し始めれば、これらはより魅力的になり得る」と同氏は述べた。

  一方、ニューバーガー・バーマンのウーゴ・ランチオーニ氏とCIBCアセット・マネジメントのマイケル・セイジャー氏は、ユーロよりも良い選択肢があるという。両氏は共にスイス・フランを挙げ、セイジャー氏は中国人民元も勧めている。

  しかし、日本と欧州の金利差は縮小しようとしており、円からユーロへの転換は可能性が高そうだ。

  ナインティワン・アセットのマルチアセットグロース部門責任者、イアン・カニンガム氏は、ユーロが円に対して下落することに賭けている。ユーロで借り入れ、トルコ・リラ、南アフリカ・ランド、チリ・ペソを買っている。

  「織り込み済みの動きと比較して、欧州は緩和を、日本は引き締めを余儀なくされるだろう」と同氏は述べた。

原題:Goldman, JPMorgan See Euro Challenging Yen as Carry-Trade Funder(抜粋)

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