真説・佐山サトルが面白かったので、読みたいなと思っていたが、図書館においてあったので借りてみた。
佐山サトルほど面白くなかった。
佐山さんは、格闘技の世界に深くかかわっていたが、長州はあくまでプロレスラーなので、裏話的なことが書いてあってもあまり関心がわかなかった。
著者はプロレスファン・格闘技ファンではないらしく、プロレスは真剣勝負とは違う、と書きつつ、節目のプロレス試合の勝ち負けについては普通のスポーツの試合の勝敗のように描写しているように感じた。
たしかに、プロレスラーが、俺たちのやっている事はショーである、と認めてない以上、本人に密着取材して評伝を書く際、真剣勝負ではなかったのでは、と書くことは凄く難しいのだろうな、と感じた。
だけど、スポーツ選手の競技への取り組みとは異なってくるはずであり、人生模様もまた全然別物となるのではないか。
むしろ、スポーツ選手としてではなく、ショービジネス界の権力闘争史、離合集散の中で仕事人として果たしてきた役割・思いみたいなものを前面に押し出してみてもよかったのではないか、などとも思った。
第十五章で元プロレスラー、保永昇男の証言として「新日本の道場で強さが際立ったのは、長州、藤原嘉明、木戸修だった」「・・・その藤原さんでも(スタンドからだと)長州さんのバックは取れない。新弟子は垂涎の眼差しで二人のスパーリングを見ていました」とある。
自分はUWF贔屓の視線で見てきたので、長州は道場では、ガチンコでは強くなかった、と思ってたが、そうではなかったのかもしれない。あるいはそのスパーリングはセメントではなかったのか?
昔、誌名を忘れたがエッチな雑誌に「強い男列伝」みたいな連載があって、アマレスのオリンピック候補選手だった若き谷津嘉章が新日本プロレスの道場に始めてやってきてアントニオ猪木とスパーをやったときの事が書いてあった。その中では若い谷津がパワーとスピードで猪木を圧倒してあっというまに組み伏せたのだが、猪木が下から谷津の鼻だったかをこすり上げ逆転、新日のセメントの怖さを知らしめた、みたいなことが書いてあった。
なので抑え込むだけのアマレスの技術は、プロレスラーのセメントには通用しない、と思っていたがそうではないのかも。
UFCでも関節技が出来なくても、そのパターンとか入り方を知ったレスリング出身者が、とりあえず力とスピードで相手を押さえつけてボコボコにする例があったと思う。
第三章で新日本プロレスのセメントの師匠、カール・ゴッチのフロリダの道場に修行に行って、ゴッチと決裂したときの話はハッキリ書いてないので経緯がよく分からない。
タイガー服部「猪木さんは光雄(長州)にゴッチ流のスタイルでやらせようとしたんだけれど、あいつからしたらそんなのは分かっているという感じだったんじゃないかな。」「二時間ぐらい二人で死闘をしていたんじゃないの。ケロッとした顔で出てきた。ゴッチを負かしたかどうかは分からない。ゴッチも普通の顔で出てきた。それから少しずつゴッチのところに行かなくなった」
長州「まあ、関節技はアマレスにないから手や足をだしちゃえば、獲られちゃう。でも、その前段階で俺を倒せる人間、寝技に持ち込める人間はいなかった。関節獲るのってメチャクチャ楽なんだ。すぐに覚えられたよ。ただ、倒す技術っていうのはなかなか見につかない。覚えるのはしんどいよ。だから、レスリングをみっちりやってきた俺を倒せる人間はいなかったな。それは自信持ってた」
自分としては、普通のアマレスとUWF式の関節技中心のレスリングがぶつかったらどうなるのか、が知りたいのだが。
関節技は相手を押さえ込んだ上で極める、のが基本だとすればアマレスのテクニックを熟知して押さえ込まれない長州が、藤原や木戸に負けなかったのもありえる。
アマレスの技術で上のポジションをキープし続ければ、そして関節技をかけられなくても知っていれば、知っていて手足をとられないよう気をつけていれば、そうそうやられることはなかったのかな。
あと、1999年1月の小川・橋本戦についてちょっと書いてあったので、何度も見たことがあるのだが、youtubeで再度見てみたら印象が変わった。
最初、橋本が良いローキックを何発か入れていて、小川はローに対してまったくディフェンスできてない。
また、スタンドでのパンチの応酬だが、橋本はパンチ出せてないが、小川のパンチはスウェーで見切っている。テクニックは無いのかもしれないが、反射神経が良いのだろう。
徹底的にローを蹴っていれば、もしかして結果変わっていたのではないだろうか?
ダイジェストで見たので、的外れかもしれないが、途中から橋本はパンチを嫌がってだと思うが、胴タックルにいってクリンチっぽくくっついて、スタミナ切れかそこから何も出来ないように見えた。
橋本がもっと走って練習していたら・・・。
まあ、小川がセメントで来るとは思ってなかっただろうからなあ。