秋葉原のブックオフで購入した。
面白かった。
1、松下電器という幸之助氏が一代で築き上げた企業だけに、急成長していく組織を制御するため事業部制だとか副社長制度だとか、幸之助氏が手作りで(だと思う)試行錯誤していく過程は、現在の様々な企業に取り入れられていると思われ、勉強になる。副社長だとか、会長だとか、相談役だとかなんとなく肩書きが存在している企業もあると思うが、松下電器においてはそれぞれ必要に応じて作られた肩書きだったのだろうな、と思った。
2、昭和史を家電の普及という側面から大まかにとらえることが出来た。
自分は昭和史の知識がなくて、今ある日本、現在の日本社会がどのような経緯で正立したのか、分からないので知りたいと思っているのだが、この本では家電業界の簡単な歴史が書いてあってそのへんがよく分かる。
三菱・日立・東芝といった総合電機メーカーに対して、松下・松下から分派した三洋、シャープみたいな家電メーカー。
それら企業が戦後10年位たった頃からテレビ・洗濯機・冷蔵庫・クーラー・VTRといったエポック的な商材をそれぞれ開発して成長を続けた。
家電が高度化するにつれて、ICだとかコンピュータ技術が求められ、世界一のIBMとの戦いのため、通産省ががんばる。
雑然というかありとあらゆる方向に進歩してきたようで、大きな流れはあったのだ、ということが理解できた。
3、企業を敵視する「消費者運動」の激しさ。
正義感を振りかざして、企業の営利活動を断罪する方々との闘争は今よりずっと激しかったみたい。
立石さんの処女作らしい。
他の著作も読んでみたい。