amazonプライムで無料だったので鑑賞。
ロード・オブ・ザ・リングスのピーター・ジャクソン監督が第一次世界大戦の模様を撮ったモノクロフィルムに着色編集した作品。
amazonプライムで視聴。
以前「彼らは生きていた」という題名で劇場公開されていたのではないかと思うが、今はこういう英語のタイトルになっていた。
前評判が高かったが、それほどとも思えなかった。
イギリス軍兵士、それも一兵卒クラスの視点での回想が当時の映像にかぶせられて延々と続く。
塹壕戦の悲惨さ、とか現場の情景、については戦争映画で観てきたものと変わらないし、驚かされるようなものはなかった。
塹壕足が凍傷によるものとは知らなかった。足指が真っ黒になった写真はグロテスクだった。
NHKなんかのドキュメンタリーで第一次世界大戦のドキュメンタリー動画は見たことがあるが、やはりカラーだとリアルさは段違い。
しかし、かなり淡々としていてずっと元兵士の昔話みたいな感じでナレーションが続き飽きる。
イギリスは第二次世界大戦よりも多くの兵士をこの戦いで失った。恐ろしい記憶だったのだろうと思うが、元兵士たちの回想は割とのんびりした感じだ。
16歳とか、15歳とかで歳をごまかして兵士になった、という話がたくさんでていて、これは驚いた。
あと、街中で女性に、なぜ兵隊にならないのか、臆病な人だ、と詰られたりもしたらしい。
皆熱に浮かされていたのだろうか?
自国に攻め入られたわけでもないのに、なぜ15、6歳の少年たちまでが兵隊になりたがったのか?
あと、この戦争では英軍士官の死傷率が非常に高く、それは士官になる上流階級の若者たちに、選ばれた者の義務、ノブレスオブリージュ、という意識があって、危険を顧みず率先垂範して戦闘に臨んだためだと言われるが、この映画ではそういった上流階級出身の士官達の回想は描かれなかったので、そこは物足りない。
ニック・メンフィスがヒスパニック俳優なのだが、これは納得できない。
生真面目な性分からうまく立ち回る事ができず、才能はあるのに損ばかりして、結果的にエリート街道から落ちこぼれている。しかし同僚女性たちにABニック(ALL Business=仕事ばかりで粉をかけても反応しない固物)等と陰であだ名されていて、本人の知らないところでは案外モテている。
魅力的この上ない彼のキャラは、白人エリートでなければなりたたないと思う。
アメリカの平等主義でいろんな人種に配役しなければならない、という事情があったのではないかと思うが、これはもったいない。
この配役のために、映画ではメンフィスがただのドン臭い雑魚みたいなキャラになっている。
まあ原作でもニック・メンフィスのキャラは確立しておらず、有能であったりドン臭かったり、色々な矛盾があり、ご都合主義的に場面場面で変わっていくのだが。
映画ではジャック・ペイン役のイライアス・コティーズが存在感があってよかった。
ギリシャ系らしいがロバート・デ・ニーロに似た風貌でいやらしい敵役が良く似合っていた。
ニコール・キッドマン、クリストファー・ウォーケン等々、有名俳優が出ているので相当な出演料を払って作ったのではないかと思うが、くだらないにもほどがある。
かなりの駄作。
あと、ニコール・キッドマンって美人と言われているようだが、ちょっと癖がある顔だ。顔のパーツが真ん中に集まり過ぎてる。エラも張り過ぎ。
最初の方でちょっとしか出てないが、ニコール・キッドマンに馘を言い渡す上司役の年配の女優さんが凄い綺麗だったが名前が分からない。
この女優さんの若いころの出演作も観てみたい。
意識高い系の頭でっかちの若者たちを徹底的にコケにしていて面白かった。
俳優も結構美男美女が多かった。
アリエル・レヴィという男性俳優がKIファイターのバダ・ハリに似ていて体格も良くインパクトがあった。
マグダ・アヴァノヴィッチという女優も美人だった。
おしむらくは、原住民の言葉がすべてざわめきレベルで聞き取れなかったこと。
宮崎駿の「バルス!」(=崩落)みたいな、ハッキリ「音」の聞き取れるセリフで意味のある「単語」として原住民の言葉を聞かせたら、さらに怪作として人気が出たのではないだろうか。
※ラストの落ちは見逃しやすいと思う。