271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

「宗谷」と「里の秋」

2010-10-31 17:32:09 | 博物
一昨年から新橋から「ゆりかもめ」に乗ってテレコムセンター駅で降りることが何度もありました。途中の船の科学館駅からかつての南極観測船「宗谷」を見下ろすことが出来ます。タロとジロの奇跡の生還、ソ連の砕氷艦「オビ」号の救援劇を思い出すのが団塊世代です。そして「宗谷」の生い立ちとその数奇な運命に思いをはせることもあります。画像はWikipediaより借用しています。

本船は元々1938年に旧ソ連向けに建造された砕氷船「ボロチャベツ」として進水しました。しかし前年の支那事変勃発を背景にソ連との契約は破棄され、辰南商船の「地領丸」として就航し、朝鮮や台湾の米、雑貨、樺太の木材、満州の大豆などの物資輸送に携わることになります。
1939年に帝国海軍が地領丸を買収し、東京の石川島造船所で大規模な改装を行います。1940年6月4日,雑用艦兼測量を任務とする海軍特務艦「宗谷」が誕生しました。砕氷能力を生かして北海道沿岸、樺太、千島列島の気象調査や測量を実施、1941年にはサイパン島やトラック島にも派遣されます。
戦後は復員船として活躍した後、1949年からは海上保安庁に所属、各地の灯台に補給物資を送り届ける灯台補給船となり「海のサンタクロース」として親しまれます。その後南極観測船となってからの活躍は周知のとうりです。

以下のサイトに「地領丸」の詳しい記述があります。
■近代化遺産ルネッサンス■ 戦時下に喪われた日本の商船>地領丸

この船を見下ろすと、子どもの頃想像していたよりずっと小さい船だったこと、そして私の頭には童謡「里の秋」のメロディーが流れます。


そして「みかんの花咲く丘」も。


数年前のことになります。この2曲にある共通する叙情を感じ、戦前日本が支配した南洋諸島からの復員に関係あるに違いないと想像したのです。この歌詞です。

調べると前掲のサイトの「さよなら」というページに私の求めた情報が掲載されていました。不朽の名作「里の秋」は1941年に千葉県船橋市の小学校教師斉藤信夫が作詞した「星月夜」が元になっています。「星月夜」の詩の三番と四番は次のようなものでした。

きれいなきれいな椰子の島
しっかり護って下さいと
ああ父さんのご武運を
今夜も一人で祈ります

大きく大きくなったなら
兵隊さんだようれしいな
ねえ母さんよ僕だって
必ずお国を護ります

斉藤は戦後、現行の様に歌詞を書き直し、「音羽ゆりかご会」の童謡歌手川田正子さんがこの曲をラジオから流しました。翌年、川田さんが歌ったのが「みんの花咲く丘」です。祈るような気持ちで夫や父の生還を願っている「里の秋」から、この曲では新しい日本への希望を感じ取ることが出来ます。

この「里の秋」を調べていて見つけたのが以下の動画です。


北京語で麗君(テレサ・テン)が歌っています。


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(2013/08/25 追記)昨晩、テレ東の池上彰さん司会の歌番組(!)を見ていたら「里の秋」が流れました。そして3年前のこの記事を見返すと肝心な動画が削除されていたので、替わりの動画に差し替えました。また文章の一部を差し替えました。


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