桜乃記-さくらのき-

九州に住む、しがない若手サラリーマンが書きつらねた現代の随筆。
日本名刺研究会(会員数2名)の代表でもあります。

内定取り消し

2008-12-14 | ビジネス、経営
いや~、不況ですね~。

トヨタは営業利益を1兆円下方修正しましたし。
いわゆるトヨタショックですね。

ソニーは計1万6千人の大規模リストラ策を打ち出しました。

契約期間に満たない派遣社員の雇用打ち切りはぞくぞく出てくるし。



実際僕の卑近な例でも、大学の後輩(四年生)が「初任給2万減らします」という宣告を内定先から受けました。

僕の上の妹にいたっては、なんと今話題の内定取り消しに遭うし。

いやはや。


国会でも問題になっておりますね、内定取り消しは。

一番有名なのが、日本綜合地所による内定取り消しでしょう。
今もっとも厳しい不動産業界とは言え、一部上場、連結売り上げ1189億(08年3月期)の大企業が53名もの内定者に取り消しを言い渡したことは、世間に驚きを与えました。

一人100万円の補償金を支払うことで、会社側は学生と折り合いをつけるということらしいですね。
しかし「これでは少なすぎる」と言い張る学生も多く、交渉は難航しているようです。
まあ100万もらえれば御の字のような気がしますがね。
経営難の会社が計5,300万出すって、かなり誠意ある額でしょ。

さて、それにしても日本綜合地所は来期以降、学生集めをすることが非常に困難になってしまいました。
会社側も、こんなにニュースに取り上げられてしまうとは誤算だったでしょう。

元来、新卒採用は景気の波に関係なく毎年一定数を取るのが定石です。
景気に左右されて採用してたら、社員の世代間バランスも崩れますしね。
今期採用を見送ったということは、将来の会社の成長が鈍化せざるを得ないということです。

それを知りつつ、なぜ日本綜合地所は内定取り消しを行ったのでしょうか?



答えは一つ、経営状況がそれだけ厳しいからに他なりません。
1年目の社員53人の初年度給料が仮に350万円としましょうか。
しかし、一人の社員を雇うのに付随してかかるお金はそれだけではありません。

PCなどの備品代、交通費や家賃補助、社会保険等。
合わせたら年に500万円は下らないでしょう。

500万円×53人=2億5,000万円
この2億5000万円はすぐにはリターンしないお金です。
短期で見れば損金です。
なぜなら新入社員はすぐには戦力にならないからです。

日本綜合地所の社長は将来の成長を犠牲にして、この直近の2億5,000万円を浮かせる決断をしたのですね。
それほど経営が切迫しているということでしょう。

まあ図らずも、結局学生一人頭100万支払う必要が出てきましたが。
だから2億5,000万円-100万円×53人=1億9700万円。
てことで概算で、短期的には1億9700万円浮いたということですね。


内定取り消しにあった学生には、心を切り替えてまた就活がんばって欲しいですね。
考えを変えてみれば、会社が無理して学生を入社させすぐ倒産するより、よっぽどいいわけですから。

ファイトだ!