https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171108-00148548-diamond-soci&p=2
「感情の伝染」は、町の健康度調査でも見つかっています。煙草を吸わない健康なひとの幸福度は高く、不健康な喫煙者の幸福度は低いのですが、幸福なひとは幸福な隣人と、不幸なひとは不幸な隣人とつき合う傾向があり、ネットワークの本線にいるほど幸福度が高いことがわかっています。ヒステリーと同様に、幸福や不幸も「伝染」するのです。
この不思議な現象は、私たちが自分に似たひとのようになりたいと思い、自分に似たひとたちを真似しようとすることから説明できます。ヒトの脳は、無意識のうちに周囲のひとびとの感情を真似し、吸収するようにできています。意識のうえでは他人とちがうことをしたいと思っていても、無意識のレベルでは群衆に合わせているのです。
幸福度の調査では、自宅から1.6キロ(1マイル)の範囲に住む友人が幸福になると、あなたが幸福を感じる率が25%上昇します。より感情的に強くつながっている家族では幸福の伝染効果はさらに高くなり、とりわけ娘から親への感情の伝播が顕著です。──女の子の方が親にこころの内を明かすからだとされます。
「幸せな人と友人になり、不幸な友人とは縁を切りなさい。たくさんセックスしている人と友人になり、あまりセックスをしていない友人とは縁を切りなさい。痩せた人と友人になり、太りすぎの友人とは縁を切りなさい」
そのうえでドーランは、新しい仕事や住む場所を決めるときには「私の幸福にもっとも貢献してくれるひとたちはどこに住んでいるか」を考慮すべきだとアドバイスします。
友だちは、距離的に近いほど大きな伝染効果を持ちます。そこで、「会っていてどれくらい楽しいか」「どれくらい頻繁に会っているか」で友だちを評価し、楽しい友だちとは近づき、楽しくない友だちとは距離を置くよう物理的に最適な場所を見つければいいのです。
「幸福」への近道は、相手の幸福度によって「友だちのポートフォリオ」を最適化することなのです(ポール・ドーラン『幸せな選択、不幸な選択』早川書房)。