超手抜きで、報道の紹介。毎日新聞の記事から、
福島・二本松:子供の被ばく量増加 野外活動増え
2012年11月23日 21時41分
http://mainichi.jp/select/news/20121124k0000m040081000c.html
福島県二本松市が実施した市民の外部被ばく調査で、半数近い小中学生が昨年より線量が増えたことが23日、市民への報告会で発表された。市調査では空間放射線量は昨年比約3割減っており、市の放射線アドバイザーを務める独協医大の木村真三准教授は「昨年は制限された体育の授業や部活動など屋外活動が増えた ため。影響が大きい子どもや妊婦は長期的に気を使うべきだ」と指摘している。
・・・昨年もデータがあり今年と比較可能な小中学生ら4344人中1969人(45.3%)は被ばく量が増加。うち46人は1.5ミリシーベルト以上も増えていた。
全体の平均値を昨年と比べると、小学生は0.07ミリシーベルト減の1.40ミリシーベルト、中学生は0.06ミリシーベルト減の1.40ミリシーベルト。・・・
調査人数が昨年より4667人も減ったことから、木村准教授は放射線から身を守る意識が低下していると指摘。「記録を残すことが万が一の健康被害への備えになる」と呼びかけている。 (強調は引用者)
記事によれば、空間放射線量は昨年比で約3割減少だが、調査対象の小中学生全体の平均被曝量はほぼ変わらずらしい(1.4mSv前後。なお、この値は自然放射線量を控除した人工放射線量と思われる)。
よく聞く話だと、福島で除染が行き届いているのはモニタリング・ポストの周辺だけとの指摘があるから、その影響なのかとも思ったが、木村真三氏(独協医大准教授)の談話によれば、野外活動の増加ということらしい。
ということは今後、体育の屋外授業などを再度制限しようという議論になるのだろうか。「長期的に気を使うべきだ」と指摘しておいて、あとは各自の自助努力でやって下さい、では意味がないだろう。
この部分の談話は理解できないこともないけど、かなり不可解なのは、2番目の談話の方だろう:
「記録を残すことが万が一の健康被害への備えになる」
これは全然意味が分からない。健康被害を治療する上で、記録を残しても全く意味がないだろう。なぜなら、内部被曝を無視して外部被曝の記録だけでは不十分だし、また、放射線障害の場合、根本的な治療法がないからだ。
この談話は、仮に健康被害が出れば、将来行政を相手に裁判を起こす際に証拠として記録が必要であるという趣旨のものなのだろうか。あるいは、仮に健康被害が出れば疫学調査の対象としたいので、記録を残して欲しいという個人的な要望なのだろうか。ウーン、ますますよく分からない、ということでメモに残しておこう。