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〔メモ〕 NHK被災者1000人アンケート調査 (2013.3月)

2013年04月03日 |  症例(報道ベース)

 先日みかけた3.11に関するアンケート調査の結果を忘れないようにメモしておこう。

 元の記事はサイトから既に削除されているようなのでニュースとしての放送は3/9か?)、それを引用したブログ「四季の庭 四季の空」の記事から、

被災者の7割 心や体の不調訴え NHK『NEWS WEB』より
2013-03-10
http://blog.goo.ne.jp/yamanami729/e/c240db255f34dc0b1a3a749c71fb7561

 NHKが、岩手・宮城・福島の3県の1000人余りの被災者にアンケートを行ったところ、この1年で、7割が震災や事故の影響で心や体に何らかの不調を訴え、高齢者だけでなく特に40代や50代の働き盛りの世代でも体調が悪化していることが分かりました。・・・


 3.11から2年経過し、NHKが被災者約1000人に対しアンケート調査を実施した際に、健康影響も調べたらしい。ググッてみると、関連記事と調査結果の詳細をNHKのサイトから、

1000人調査から見える被災地の現実
(3月10日 19時35分)
http://www3.nhk.or.jp/news/2013shinsai/2013_0310_02.html

震災2年のアンケート

 NHKでは、被災地の現状がどうなっているのか、時間が経つにつれてどのように変化していくのか把握しようと、被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県で、震災の2週間後から、継続的に被災した人たちにアンケートを行ってきました。7回目の今回は郵送や対面で行い、去年12月から先月までの間に、1006人の方から回答をいただきました。

 [中略]

働き盛りに心身の不調

 こうした状況は、被災者の心や体にも影響をあたえていました。震災直後から、ケアの必要性が言われてきた高齢者。この1年に何らかの心身の不調を訴えた人は75%と、歯止めがかかっていませんでした。そのうえ、40代50代の働き盛りの世代でも72%がなんらかの不調を訴えていました。地域や職場、そして家庭において復興の担い手として取り組み続けてきた人たちが、この1年で体調を悪化させていたのです。




東日本大震災2年 被災者1000人アンケート
http://www3.nhk.or.jp/news/2013shinsai/enquete2013.html (結果の概要)
http://www3.nhk.or.jp/news/2013shinsai/infographic/tohoku2yrs_report.pdf (pdfファイル。結果詳細)


 結果詳細から健康影響の部分をみてみると(質問の内容は「3 心身の状況や家族について」のうち「(6) いまも震災・原発事故による心身への影響がありますか。」)


   (上記資料14頁)


 上掲の表によれば、2年目の症状のうち上位の項目は、次の通り。

a. 気分が沈みがち (36.8%)
b. よく眠れない (31.7%)
c. 意欲がわかない (27.8%)
d. 薬が必要になった (25.4%)
e. 血圧が上がった (22.8%)
f. 飲酒や喫煙の量が増えた (19.6%)
g. 歩きにくくなった (18.7%)


 aとcは精神症状の一種でうつ病(depression)に、fの一部はアルコール依存症(alcohol abuse)に関連し、いずれもチェルノブイリの例では増えたとされている(下図参照)。eは高血圧に関連し、これもチェルノブイリの例でも増えたとされている(この点は過去記事 大衆の誤認誘導効果を有する報道の諸類型 (2) 隠れ○○  2013/1/31 を参照)

 bはいわゆる不眠だが、これもチェルノブイリの例でも増えたようだし、gは多くは筋力低下が関係していると思われるが、筋肉には放射性セシウムが蓄積しやすいらしい。dはよく分からないけど、いずれにせよ病気が増えたということだろう。

図 チェルブイリ事故の清掃作業員における精神異常の有病率 (一般人との比較)
(出典:ウクライナ政府報告書「Twenty-five Years after Chornobyl Accident: Safety for the Future」2011、160頁)


 これらの関連性はまったくの偶然なのか、あるいは何か理由があるのだろうか。


 結果詳細に戻り、もう少しみておくと、
 

   (上記資料15頁)


 上段の「健康状態の変化の年代別分析」によれば、30歳以下では2年目で改善した人が多いようだが、40歳以上では、むしろ悪化した人が多いようだ。

 下段の「2年目の健康状態と地域別分析」では、福島では「良好」の割合人がなり少なく、「不調」の割合をみると、岩手、宮城、福島の順で大きくなっていたようだ(それぞれ26.4%、30.5%、46.3%)。


 冒頭のニュースに戻ると、被災者の心身の不調の原因は、次のように分析されている。冒頭ブログ記事から、

 被災した人たちの健康状態の調査に当たっている東北大学の辻一郎教授は「復興の道筋が見えないことが、中高年の心身の不調につながっていて、アルコール依存やうつに悪化していくのを防がなくてはならない。医療的なケアだけでは解決しないので経済対策や雇用対策などを進めることが最大の薬になる」と指摘しています。 (強調は引用者)


 果たして本当だろうか。例えば、復興の不透明さと「歩きにくくなった」こととの間には、何の関係があるのだろうか。


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