ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

足のむくみ市場は有望なのか?

2013年09月07日 |  今日のメモ

 まだ暑いねといいつつ、今週は週2更新で・・・

 前回記事と同様、先月終わりの朝日新聞を眺めていたら(確か8/30)、足のむくみ向けの新しい薬(OTC薬。処方箋不要)の全面広告が出ていて、少し引っかかってしまった。3.11後においては、薬やワクチンの宣伝をみていると多少違和感を感じる場合が個人的にはあるのだが、それと同種のものを感じたためである。薬の宣伝まがいのことを記事にするのも気が引けるが、バタ臭い漢方薬(西洋ハーブ薬)らしいので大目にみておこう。


 この薬は、今年の6月に発売されたものらしい。日経BPのサイト「日経ヘルス」から、

日本初!足のむくみを改善する西洋ハーブの市販薬をエスエス製薬が発売
13年6月4日
http://nhpro.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20130604/154342/

 エスエス製薬は、日本初の足のむくみを改善する内服の市販薬「アンチスタックス」(第1類医薬品)を6月3日に発売した。赤ブドウ葉乾燥エキス混合物を有効成分とした西洋ハーブ医薬品の国内第一号でもあり、また、国内で医療用医薬品としての承認を経ずに、市販薬(OTC医薬品)として商品化された「ダイレクトOTC」成分としては、大正製薬が販売する「リアップ」の有効成分、ミノキシジルに次いで2つ目に当たる。


 西洋ハーブが素のようだし、その有効成分が「赤ブドウ葉乾燥エキス混合物」というのも背伸びをしていない名前で好感がもてるが、ミノキシジルに次いで2番目という位置付けは、残念ながら好感度ダウンだろう。

 
 とうでもいいことは置いといて、先ずむくみ(浮腫)の一般的な解説については、gooヘルスケアから、

血行不良が招く、不快なむくみ
(2007年01月30日)
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h002/0054.html

むくみはなぜ起こるの?

 からだの中の水分は血管内、細胞内、細胞外(細胞と細胞の間)にあって一定のバランスを保っていますが、何らかの原因でこれらのバランスが崩れ、細胞外に水分が増えすぎ腫れぼったくなった状態が「むくみ」です。むくみは、重力によって水分がたまりやすい下半身に起こることが多く、特に足首やすねなど、筋肉の少ない場所がむくみやすくなります。

 足は第二の心臓といわれるように、足の筋肉は心臓から送られてきた血液を心臓に戻すポンプのような働きをしています。筋肉が発達していてよく動く人はこのポンプの働きがうまくいくため血行がよく、水分の排出もスムーズに行われます。
 逆にいえば、長時間の立ち仕事やデスクワークなど、仕事中一定の姿勢であまり動かない人は、血行が滞ってむくみやすくなります。また、運動をしない人は筋力が弱く、冷えも血行を悪くしますから、冷え性で筋力の弱い女性に、むくみで悩む人が多いのです。

 ほかにも、むくみの原因には次のようなことがあります。

●塩分のとりすぎ:血液中の塩分の濃度が高まり、濃度を一定に保つため水分を体内にためこもうとして飲水量が増え、細胞外の水分が増える。
●アルコールの飲みすぎ:細胞内が脱水状態となり、逆に細胞外に水がたまる。
●過度のストレス:手足の血流が悪くなったりホルモンが乱れ、体内の水分調整がくずれる。
●女性ホルモンの影響:特に月経前や妊娠中、更年期にはむくみやすい。 (強調は引用者)


 より詳しくむくみに関連する病気を一覧にしたものについては、同じくgooヘルスケアから、

むくんでいる - 病気検索 はれ、むくみ
http://health.goo.ne.jp/medical/chart/022.html (簡単な一覧表あり)


 今回のバタ臭い漢方薬が対処しようとする足のむくみは、軽度の静脈還流障害(下肢の静脈の血流が滞ることによって引き起こされる疾患)に起因するものらしいので、静脈性の浮腫の一種にあたるのだろう(なお、浮腫については、コルチゾール過剰原因説を前提とすれば内分泌性浮腫があると思うが、静脈性のものとは別経路ということになろう。その過去記事は 「コルチゾール過剰症」とステロイド剤の副作用 (1) 2012/8/10)。エスエス製薬のサイトから、


静脈還流障害のメカニズム(静脈と足のむくみの関係)
http://www.ssp.co.jp/antistax/cvi/mechanism.html

 立ったままや座ったままの姿勢が長く続くと、足の筋ポンプは機能が低下し、そのために血液が心臓に向かって流れる血流は停滞します。また、血液自体の重量が静脈内にかかるため、静脈圧(静脈内の圧力)が上昇し、静脈が拡張した状態となり、静脈内の血液は下肢に溜まりやすくなります。

 下肢で静脈還流が滞ると、下肢静脈内の圧力が上昇するため、血管内から血管外へ血液の血漿成分(水分)が浸み出て、細胞外に水分が貯留します。これが、下肢にむくみが起こる原因となります。

 むくみが生ずると、末梢の静脈に炎症が引き起こしやすくなり、それが慢性化すると静脈の弁機能の低下も加わり、病態がさらに進行する原因となります。症状が重症化するほど完治が難しいため、初期での治療が重要です。




 このバタ臭い漢方薬の薬理作用については、冒頭引用の日経ヘルスの記事に戻ると、

 有効成分の「赤ブドウ葉乾燥エキス混合物」は、赤ブドウ葉を水抽出した複数のポリフェノール類などの混合物で、[エスエス製薬]研究開発本部の澤村淳グループマネージャーは、「足のむくみの原因となる、血管からの水漏れを防ぐ作用がある」と説明する。

 [中略]

 澤村グループマネージャーは「これまでの研究で、赤ブドウ葉乾燥エキス混合物を服用することで血管内皮細胞の炎症が抑えられ、血管内皮細胞間のすきまが閉じることがわかっている」と話す。また、血液凝固抑制作用や毛細血管の血流改善作用、むくみの抑制作用などが動物やヒトを対象とした試験で確認されているという。


 さて、タイトルで提起した疑問に戻ろう。足のむくみ市場が有望かどうかを分析するには、いろいろな角度から考えることができるだろう。このブログ的には、やはり3.11後の状況において足のむくみを引き起こす要因が悪化傾向にあるかどうかを眺めてみるべきであろう。

 結論を先に書けば、上記に引用した軽度の静脈還流障害のメカニズムに沿ってみると、3.11後においては次の要因が悪化している可能性が高いだろう。

(1) 足の筋力低下
(2) 末梢血の滞留
(3) 末梢の血管での炎症


 (1)についてみれば、足の筋肉は「第2の心臓」とも呼ばれているらしい。バンダジェフスキー説を信じるならば放射性セシウムは「第1の心臓」に悪いわけで、心筋と骨格筋という違いはあるもののたいした相違ではないので、当然「第2の心臓」にもいいわけがないだろう。また、足の筋力低下は、●の影響下にある場合には、放射性セシウムが直接関与しない経路でも起こり得るだろう(詳しくは過去記事 「コルチゾール過剰症候群」 (9) 筋力低下 2013/6/1)。


 次に(2)と(3)については、●の影響が様々な血管病変を引き起こす点を思い出す必要があるだろう(過去記事は、動脈硬化に関しタバコ、アルコールでこれらが起こるなら・・・  2013/5/7、末梢動脈疾患に関し〔メモ〕 「見逃し高血圧」とは?  2013/2/13、大動脈解離に関しNHK番組「ためしてガッテン」 (5) 大動脈解離・腹部大動脈瘤  2013/3/6)。いずれにせよ、血管病変の始まりは、血管内にあった放射性核種が崩壊したことにより、血管内皮細胞が直接あるいは間接的に損傷する点にあるのだろう。
 
 毛細血管部分で核種の崩壊があれば、血管が詰まってしまい微小部位での循環不全が発生することもあるだろう。幾つかの微小部位が集まれば血流が滞ることとなり、ひいては(2)の末梢血の滞留に繋がっていく可能性があるだろう。また、核種崩壊は傷害により炎症を引き起こす可能性もあるだろうから、(3)にも繋がっていく可能性があるだろう。●の影響は免疫力の低下も招くので、炎症も容易に悪化しやすい傾向にあると思われる。


 最後に、第1の心臓と第2の心臓との相違点の話に戻ると、第2の心臓は骨格筋なので随意筋であり、自由に動かせる点が特徴だろう。従って、このような運動にはある程度意味があるだろう。

仕事の合間に簡単ストレッチ6 脚のむくみ
(2013年08月13日)
http://health.goo.ne.jp/column/fitness/f001/0106.html


 以上のように眺めると、足のむくみ市場は3.11後においてはなかなか有望そうだと思われるが、どうだろうか。いずれにせよ、この薬が効くかどうかは全く知見がないのだが・・・(仮に効くとしても、摂取するなら食べて応援しないが前提となるだろう)


コメント    この記事についてブログを書く
« 「秋バテ」が増えそうだが猛... | トップ | 盲腸が増加しているのか? »

 今日のメモ」カテゴリの最新記事