ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

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「コルチゾール過剰症候群」とステロイド剤の副作用 (1)~(3)

2012年08月10日 |  症例(その他)

 前回の記事で取り上げた仮説、コルチゾール過剰原因説(●による健康影響の症状の多くがコルチゾールの過剰分泌に起因するものと考える説。影響の結果出現した症状の総体が「コルチゾール過剰症候群」。なお、コルチゾールは副腎皮質ホルモンの一種(糖質コルチコイド))に関連して、様々な場で報告された症状をみていこう。

 その前に仮説の背景を一言だけ述べておくと、以下のとおり:

放射線被曝 →酸化ストレスの亢進 →抗ストレス・ホルモンの分泌亢進 →コルチゾールの過剰


 では、前回記事の図中のステロイド系抗炎症剤(ステロイド剤)の副作用の項目(17項目)別に、問題の症状へのコルチゾールの関与の仕方、関連する疑わしい症例をあげていこう。


(1) 高血圧
 この症状にコルチゾールが関与するのは、コルチゾール(糖質コルチコイドの一種)が電解質コルチコイドの作用をあわせ持つためである。この点の解説は、例えば、サイト「調剤薬局日記」から、

ステロイド内服剤 の副作用
http://www.jade.dti.ne.jp/~ma-hata/20_suteroido.htm (リンクはココ

・・・このうち鉱質コルチコイドは、アルドステロンに代表され、「遠位尿細管において Naを再吸収し、Kを排泄する」という電解質代謝作用を持っています。

 一方、合成の副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)も、鉱質コルチコイドと同様の電解質代謝作用を示し、Naの再吸収やKの排泄を促進します。Na再吸収促進の結果、水分の貯留が起きやすくなり、副作用として浮腫や 高血圧が現われることがあります。 ステロイド剤の中で、リンデロンは この電解質代謝作用はほとんど無いのですが、それでも高血圧の患者に原則禁忌となっています。

 関連する疑わしい例は、以前の記事で紹介した、岩手の高血圧、栃木の高血圧の例があげられるだろう。ただ、高血圧に至る経路は他にもいろいろあるので(例えば、アルドステロン症など)、コルチゾール過剰という経路の寄与は高くはないのかもしれない。

栃木の中学生の高血圧 (2011年度調査)  2012/7/26
http://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=cb0bc6d408fc69f3be5b715f3aac40a7
岩手における高血圧 2011.11月調査  2012/4/23
http://ameblo.jp/ak-47-feb11/entry-11230997303.html
 

(2) 浮腫
 この症状にコルチゾールが関与するのは、(1)の場合と同様で、電解質の代謝異常が起こるためだろう。

 関連する疑わしい例は、例えば、某掲示板の緊急自然災害板から、

262 : 地震雷火事名無し(大阪府) : 2012/05/18(金) 20:08:02.82 ID:xD/n3DhN0 [1/2回発言]
  足(スネから下)が両足むくむ。 被曝@横浜
  求む、被爆時の対処療法

  おそらく、靴下に付着した放射性物質で足が被曝か?
  この冬 急に悪貨
  とりあえず挙上して足首を大きく動かすと少し改善する

 なお、以前の記事で、放射線療法の副作用との類似性について触れたけど、長期的な副作用の一つに「リンパ浮腫」が含まれることを指摘しておこう。

放射線療法の副作用との類似性 (4) 症状のまとめ  2012/6/11
http://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=6ac170b277184448c7093a5c6566a273

 ついでに、リンパ浮腫の解説は、例えば「むくみのページ」から、

リンパ浮腫の出来かた
http://www.mukumi.com/02_01_02.html (リンクはココ


(3) 耐糖能障害
 耐糖能障害とは、ブドウ糖が消費されにくくなった状態をいい、その原因は、インスリンの不足あるいはインスリン抵抗性によるとされている([医学用語辞典 MeDic」から、耐糖能障害 http://word.e-medic.net/word/%E8%80%90%E7%B3%96%E8%83%BD%E9%9A%9C%E5%AE%B3)。

 この障害にコルチゾールが関与するのは、以前の記事で触れたように、コルチゾールが「糖新生・血糖値の上昇」という作用を持つからであろう。インスリンが以前と同様の量で分泌され、インスリン抵抗性にも変化がなくとも、タンパク質を分解して糖の不足を防止する機構が働き糖の総供給が増えるので、異常がでやすくなっているのであろう。

8/13追記(コルチゾールとインスリンの関係に触れておかないと不十分なので追記):
 糖新生で高まったせっかくの血糖値をインスリンによって下げられてしまうと元の木阿弥になるので、コルチゾールは、インスリンのブドウ糖の取込みを抑制する作用を持っている。例えば、サイト「脂質と血栓の医学」から、

ステロイドホルモン
http://hobab.fc2web.com/sub4-Steroid.htm (リンクはココ

2.コルチゾールの作用
 [中略]
 生体は、ストレス(飢餓、寒冷、外傷など)の際に、脳の下垂体のACTH分泌を介して、副腎皮質からのコルチゾール分泌を急増させ、エネルギー源となるグルコースの供給を、促進させる。しかし、コルチゾールが、血中へのグルコースの供給を増加させることは、糖尿病を悪化させる恐れがある。コルチゾールは、インスリンの、インスリン受容体との結合親和性を低下させ(インスリン受容体数は減少させない)、インスリンによるグルコース取り込み促進作用を、抑制する。

 この症状に関連する疑わしい例は、以前の記事で紹介した、福島の子供の糖尿病の例であろう。

〔メモ〕福島の子供のメンタル症状と糖尿病  2012/5/17
http://ameblo.jp/ak-47-feb11/entry-11252711608.html
福島の子供の糖尿病の原因は? (1/2)  2012/5/22
http://ameblo.jp/ak-47-feb11/entry-11258132823.html


 また、以前の記事(ココ)で紹介したスイス人医師フェルネックス氏は今年5月の訪日後にインタビューを受け、その内容が7月にフランスの新聞(ラルザス紙)に掲載されたらしい。同氏は、その中で、若年性の糖尿病にも言及している。「Canard Plus ♡ Tomos und Entelchens Blog」にその記事の和訳があるので一部引用すると(なお、原文は仏文だが、リンクを探すと英訳文もあり)、

ミシェル・フェルネックス:チェルノブイリの教訓を無視する福島
lundi 6 août 2012
http://vogelgarten.blogspot.co.nz/2012/08/blog-post.html (リンクはココ

[記者]- 福島医大の医師達と意見交換された感想は?

[フェルネックス氏]- 私は同大学の教授四人に会うことが出来た。心臓科、泌尿器科、内科そして眼科の医者だ。彼らは全員放射能汚染に起因する疾患に関してまったく無知だったようだ。そして若い患者の間に心筋梗塞や糖尿病、眼科疾患が出現するのを見て大変驚いていた。・・・


 糖尿病に至る経路は他にもいろいろあるので(例えば、イットリウム原因説、セシウム原因説、内分泌異常説(バセドウ病経由説など))、コルチゾール過剰という経路の寄与は高くはないのかもしれない。


(つづく)

 

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注) ・8/13追記。

・8/22 タイトルなど変更。


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