人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

なつかしの邦画あれこれ

2018-08-22 17:09:34 | 映画・音楽など
盆休みの機会もあって、このところ昔の邦画をyoutubeでよく観てます。
こんなに続けて観たのは、何十年ぶりだろうか...91年から96年ぐらいまではレンタルビデオでも、自主上映会でも昔の邦画ばかり観ていたものです。(それ以前の3年ぐらいは洋画が中心でした)
いずれも短い小品といった感じのものばかりですが、印象に残ったものを記してみます。

※「有りがたうさん」36年松竹/清水宏監督
イケメン俳優上原謙主演。共演は元祖モガ(モダンガール)桑野通子。
乗り合いバス道中のごくあり来たりの人間模様を描いたロードムービーです。
運転手さんは、行き交う人に「有がたうi」と声を掛けて、客でもないのに、用事を頼まれたら、引き受けてしまうというお人好し。如何にも都会的なモガ?との対比が面白い。台詞回しが何ともゆったりしてて、ホンワカにさせられるけど、東京に身売りに出されて行く"チョイと"可愛い娘との絡みから、不況に喘ぐ時代相もリアルに描かれています。それにしてもクラクションがまるで暴走族のようにケタタマしい...連中はここから借りたに違いない...

※「8時間の恐怖」57年日活/鈴木清順監督
前記と同じくバスの道中の話ですが、こちらはサスペンス仕込みです。
主演金子信雄(主演作はこれしか知らない)。冒頭にちょび髭を生やした初老の小太りのオヤジが出てきますが、私はてっきりこちらが金子親分かと思ってしまいました。私にはお馴染みの役どころだったからです。"チョイと"イケメンで、寡黙な護送中の殺人犯役です。
バスが遅れて到着して、イライラしてる乗客たちにも、不気味な乗客の存在でピリピリ感が漂いますが、ホントの恐怖はこれからだった...凶悪犯の二人組がバスに乗り込んできたi...
たまたま似た設定の作品を観ましたが、すぐ傍らは断崖絶壁という蛇行した山道といい、人のことを気遣うデリカシーのない会話が飛び交うことといい、勝ち気な女といい、「早う出さんかいi」と、せっかちな客にせっつかれて運ちゃんも楽じゃないことといい、微妙な人間関係の機微を作り出している車中で迷惑そうな喫煙、飲酒のシーンといい、前記の作品を下敷きにしているのかなあ、と勝手に想像してしまいました。

※「てんやわんや」50年松竹/渋谷実監督
上原謙と並ぶイケメン俳優佐野周二主演。淡島千景の銀幕初出演とのことですが、堂々たる演技、"チョイと"イカしたプロポーションi
何といっても脇役がいい、黒沢映画の顔志村喬、時代劇の老中役でお馴染みの薄田研二、酔っぱらい役では、多々良純と双璧?三井弘次、笠智衆と並ぶフケ役藤原鎌足...そして私が好きな俳優の一人三島雅夫。この人は悪役でも例えば通俗時代劇の定番、豪胆な"ウワッ、ハ、ハ"の悪代官、その権力に取り入り、下の者には冷淡にふるまう姑息な、"エッ、へ、へ"の悪徳商人のどちらにもハマり(特に後者がピカイチ)、はた又如何にも善人という感じのノンキなオヤジ役もハマるという、得難いキャラクターで制作会社を超えて重宝にされました。
とにかく彼らのような名脇役たちが50年代辺りの日本映画の黄金時代を支えたと言ってもいいでしょう。私はどうしてもスターよりも脇役に目が入ってしまいます。
主人公は社長の不祥事で会社のゴタゴタに巻き込まれ、東京を離れたくなったところへ、社長の伝令で慰安を兼ねて四国へ滞在することになった。社長の知り合いの"ワッ、ハ、ハ"と型破りな大富豪の家に寄宿することになるが、その取り巻き連中の間には四国を独立させ、理想社会を建設するという怪しげな革命思想が奉じられて、その運動の片棒を担がされるハメになる...

他の作品に触れるスペースが無くなってしまいましたが、ほとんどが私の生まれる前の作品で、"なつかしい"なんてどころでなく、オールドファンでなきゃピンとこない名前も次々出てきたことでしょう。
私は見慣れているせいか、全然違和感を感じません。
何だか"あん時は、生きるのが大変だったけど、ノンビリしてて良かったなあ..."なんて錯覚もしてきそうです。
現代の感覚からすると、稚拙に感じられるところもありますが、現代では絶対に出せない味があるのも確かです。
なつかしく感じるのは、時代を超えて息づいているものが呼び覚まされるからでしょう。

"チョイと"(今じゃ全く使われなくなった言葉遣い)原チャリ跳ばして、レトロな西武池袋線へ行きたくなりました。




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