春日気象繁華、
令人心神駘蕩。
不若秋日雲白風清、蘭芳桂馥、水天一色、上下空明、 使人神骨倶清也。
春日の気象は繁華にして、人の心神をして駘蕩ならしむるも、
秋日の、雲白く風清く、蘭芳しく桂馥い、 水天一色に、上下空明にして、
人の神骨をして倶に清らかならしむるに若かざるなり。
「春の景色と秋の景色」
春の日の気候は、万物を茂らせ華やかにし、人の心も長閑でゆったりとなるようにさせるが、
それは、秋の日の様子が、雲は白く風は清く、蘭は芳しく、木犀は匂い、水も空も同じ色となり、
上空の月が澄んだ水中に明るく映って、人の心も身体も両方とも清々しくさせるのには到底及ばない。