





染井吉野
当恕火慾水正騰沸処、明明知得、又明明犯着。
知的是誰、犯的又是誰。
此処能猛然転念、邪魔便為真君矣。
恕火慾水の正に騰沸する処に当たりて、明々に知得し、又明々に犯着す。
知るところのものは是れ誰ぞ、犯すところのものは又是れ誰ぞ。
此の処、能く猛然として念を転ぜば、邪魔も便ち真君と為らん。
「我を見つめるもう一つの目」
人間と云うものは火の様に激しい怒りと、
水の様な大きな欲望が盛り上がり沸き立とうとする所で、
自分の心に物事を明らかに知りながら、
水の様な大きな欲望が盛り上がり沸き立とうとする所で、
自分の心に物事を明らかに知りながら、
また一方では明らかに犯してしまうものである。
この時、その明らかに知る者は誰であろうか、
また明らかに犯すものは誰であろうか。
この知りもし犯しもする者が誰かと云うことを直ちに思い返し見極めたなら、
それまでは悪魔の様なものであったものも、
それがそのまま本来の心になってしまうであろう。
また明らかに犯すものは誰であろうか。
この知りもし犯しもする者が誰かと云うことを直ちに思い返し見極めたなら、
それまでは悪魔の様なものであったものも、
それがそのまま本来の心になってしまうであろう。