太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

しゃもじの復讐

2020-03-16 15:35:45 | 日記
うちにはしゃもじが2本あった。
プラスティックのしゃもじで、
ひとつは細かい凹凸がついているもの、もう一つは、
やっすい電気釜を買ったときに付いてきた、のっぺらしたしゃもじだ。
凹凸がついているものは、自分で買ったもので
ご飯粒がくっつかないようにできているはずが、
なぜか毎回、たっぷりとご飯粒がくっつく。
くっ付き防止の細かい凹凸の、ぶつぶつした隙間にご飯粒が入り込むので始末が悪い。
一方、やっすい電気釜についてきた、なんの変哲もないのっぺらしゃもじは
見事にご飯粒がくっつかない。
キッチンの引き出しが、物であふれかけていたので整頓したとき、
しゃもじは1本あれば良し、と思い、
ご飯粒がくっつかない方を残して、くっつくほうは捨てた。

はずが、
私はなぜか、凹凸のある、ご飯粒が盛大にくっつくしゃもじを残し、
優秀なしゃもじを捨てた・・・・・

そのことに気づいたのは、次にご飯を炊いた時だから、1か月以上たってからだ。
こういう自分に今更落ち込んでも仕方がない。
半世紀以上もこの性格で生きてきた。
かえすがえすも、あの優秀なしゃもじが惜しい、それだけだ。

そのことを夫に話したら、頼んだのでもないのに
仕事の帰りに日本食スーパーに寄って、新しいしゃもじを買ってきてくれた。
プラスティックの、きれいな花模様などが織り込まれてすてきなのだけれど、
何の加工も施していないから、ばっちりとご飯粒がくっつく。
それは、使わなくてもわかる。
でも、せっかくの夫の好意を思えば、そんなことは言えない。
「わー、すてき、ありがとう!」
と喜んでみせ、内心で溜息をつく。
ご飯粒がくっつかない加工をしてある方を捨てた、という説明をしても
どうせわからないだろうと思ってしなかった。
まあ、あの説明をしたところで、夫はこれを買ってきたに違いないけど。

今日、ご飯を炊いたときに、その花柄しゃもじを使った。
マグカップに水を入れて、その水にしゃもじをつけながら使っても
べったべたとご飯粒がくっつく。
水の底にもご飯がたまって、もったいない。
夫の好意を無にしたくないし、ご飯を炊くのは2か月に1度ぐらいだから
もうこのベタベタしゃもじで良しとする。
役に立たないといってあっさりと捨てられた(しかも役立つほうの)しゃもじの
これはひそかな復讐なのだと思っている。










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