心象風景 絵描きブログ

美術のこと、旅のこと、いろいろを心象風景を描くようにつづる絵描きの雑記。

「猫の手研究所」 通信 69

2022-10-07 22:54:04 | 記憶のかけら

夜通は面白い寝方をする。手(前足)で顔を隠しながら寝る。眩しいのかなぁ。

こういう時は余程のことがない限り起きない。

ドアのノック音も郵便配達人の声も気にせず寝ている。

届いた書き留めは 「ふみさん」の親族の方からだった。

なぜか懐かしい想い。

もうすっかり終わったものだと思っていた。

手紙が2通と郵便為替が入っていた。

1通はふみさん宅へ案内してくれたあの男性から。

その後、あの家を片付けて、貸家としたとのこと。

もう1通は、その際に見つかった書きかけの葉書。

ふみさんが書きかけたもので、宛先は書かれていなかった。

先の手紙に、おそらく東京の方への手紙だろうから宜しくとのこと。

いささか困惑する。

人の手紙を想像で誰かに渡すのは、果たして許されることか。

同じ思いのまま、このような形で送られてきたのだろう。

宛名もないのだから、そのまま処分しても良さそうなのだ。

それができないから、こちらにその迷いが振られたようなものだ。

つくづく思った。書きかけの手紙など、残すもんじゃない。

今度は自分が夜通のように頭を抱えることになった。


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