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『会社に人生を預けるな』(勝間和代)

2009-03-21 11:50:16 | 読書日記
 私が提案するリスク・リテラシーとは、
1 身の回りにあるリスクを予測、計量すること
2 そのリスクに見合ったリターンを得られるかどうかを判断し、当該リスクを取るか、取らないかを決定すること
3 リスクを取る場合、リスクをどうモニターし、制御するのかを決めること

 ITや社内教育が短期での人材育成を可能にしたため、終身雇用によるメリットが大きく薄れてきてしまったばかりか、逆にへいがいになってきているといえます。

 ワーク・ライフ・バランスとは、
1 就労による経済的自立が可能になる社会
2 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
3 多様な働き方・生き方が選択できる社会

 ワーク・ライフ・バランスは、本来、優秀な人材を戦略的に囲い込むため、さらに創造的な能力を発揮してもらうためにあるのに、日本の終身雇用の仕組みの中では、人がなかなか辞めず、帰らず、滅私奉公をしてくれるのですから、企業側にとってワーク・ライフ・バランスは、従業員の健康管理か福利厚生くらいの位置づけでしかなくなるのです。

 共産主義はなぜ失敗に終わったのでしょうか。それは、共産主義社会では政府がリスクの管理を集中化、一元化しましたが、そのリスクを管理しきれなかったことが原因です。現代はリスクが分散されすぎて誰も把握することができないが、分散させずに集中管理しようとしても、管理しきることはできないのです。

 ここでのリスク・リテラシーとは、これまで私たちが「お上がやってくれる、政治家がやってくれる、上司がやってくれる」と外発的なリスク管理をしていたことを改め、もう少し内発的なリスク管理に上げていこうではないかという発想です。

 自分がリスクを取らずに開発した、従業員を管理できる初めての仕組みが非正規雇用だったのです。ところが、非正規雇用の最大のリスクは、もともと日本にはリスクマネジメントの仕組みが従業員の側にも企業にも国家にも存在しなかったために、ワーキングプアが大量に発生するという事態を招いたことです。本人たちもそのリスクをどう管理するかという教育を受けていない上に、会社もリスクを取らない、国も面倒を見てくれないのです。

 リスクの考え方についてもパラダイムシフトが必要。
 自分の人生を会社に預けないということもしかり、国に頼りすぎないということもしかり、自分の人生は自分でコントロールするという発想が大事です。人生は癒すものではなく、コントロールするものです。

 「会社に人生を預けるな」という表題のとおり、終身雇用制度の問題点についての記述はかなりありますが、リスク・リテラシーを身に付けることの重要性を説いた作品です。
 個々人が少しづつリスクを意識することで、企業・社会・国家レベルでリスクをきちんと把握した上で、リスクをとった活動をし、発展を遂げることができる。

 まず、個々人がリスク・リテラシーを磨くことが必要。とは言え、今の私がいきなり今の立場を全て投げ出すリスクを取ることは、自分の意識の面でも、社会の受容能力の面でも、とてもじゃないけど無理。小さなリスクから意識することから、訓練してくことがいいのでしょう。