向日葵という花は、小さいものから咲くのか、と早とちりしてしまった。大きく密生した蘂を持つものよりも花弁が弱々しく可憐と思われるものから咲き始めていた群落を見つけた。咲いた後に成長するわけでもないので、日あたりの具合なのであろうか。
★向日葵の群れ立つ乱ある如し 大串 章
★向日葵に剣の如きレールかな 松本たかし
2句ともどこかドラマを感じる句を選んでみた。ゴッホの向日葵の印象とはちょっと違う向日葵ではないだろうか。ゴッホのような圧倒的な存在感のある向日葵の印象を与えられてしまうと、別の角度から向日葵を見ることが難しくなるものである。
第1句、中心部の黒い部分が乱立しているのは、不安を掻き立てる印象もある。黄色だけではないところ、蕾の部分の緑の重量感、葉のこわごわとした質感、いづれもが「向日葵」である。向日葵の全体を見ないとこの発想は出てこないのではないだろうか。
第2句、梅雨も明けて猛暑日の続くときに向日葵はその重量感のある姿を見せる。線路わきの向日葵には、猛暑で熱く熱せられたレールが無機質な質感で絡んでくる。見ているものに鋭く迫ってくるようなレールである。向日葵とレールと人を押しつぶすように太陽、人がとても脆弱なものに見えてくる。
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