昨日に続きベートーヴェンのビアノ三重奏曲を聴いている。本日のCDは、第4「街の歌」、第5「幽霊」、第7「大公」と名前のついている3曲。演奏はボザールトリオ。1964年の録音で2001年に発売されたもの。
こちらの演奏のほうが、音が柔らかく、厚みがあるように私には聴こえる。昨日まで聴いていた演奏はヴァイオリンの音がかたく、金属音のように擦れて聴こえるのは、弦の選択によるものとは思えないので、私の耳のせいか、楽器のせいか、演奏者によるものなのか。
このCDは購入した当時、ずいぶん聴いた。
不思議なもので、3曲ともいい曲だと思うのだが、すぐに覚えてしまうのは第7番「大公」の第1楽章の冒頭から繰り返される「B♭-D-A-B♭-F」。この音型が執拗に頭の中で駆けずり回り、記憶されてしまう。
心地よくて、気分が高揚するような音型なので、覚えてしまうことに抵抗はないのだが、これが執拗に頭の中で繰り返されるようになると、それを止めるのに苦労する。60年も前のコカ・コーラのように依存性のある飲み物などを繰り返し飲んだときのようなものである。
第2楽章も、第4楽章の冒頭の旋律も同様に頭の中にすぐに入ってしまって、なかなか抜け出てくれない。
なお、この「大公」の作られた1811年前後はナポレオンの絶頂期。楽曲一覧を追ってみると、ベートーヴェンはこの年に第7番の交響曲を作り始めているが、有名な曲は目につかない。幾人かの女性との手紙のやりとりが有名であるが、他にはゲーテとの手紙のやり取りが始まった年でもあると聞いた。